【NBA】ティンバーウルブズのジョシュ・マイノット、2年間鳴かず飛ばずの若手に劇的な変化「怖がるのをやめた」
シーズン最初の実戦で22得点「すべてが好転し始めた」
ティンバーウルブズの始動日、カール・アンソニー・タウンズのトレードに話題が集中する中で指揮官クリス・フィンチは「リーグで最も選手層の厚いチームになる」と語り、「この6週間、練習場でのベストプレーヤーはジョシュ・マイノットだ」と続けた。マイク・コンリーも「ここに戻って来て驚いたのはマイノットの成長ぶりだった」とその名を挙げたが、人々はほとんど気に留めなかった。 ジョシュ・マイノットは2年前の2巡目45位でホーネッツに指名され、そのままウルブズにトレードされた選手だ。1年目は15試合、2年目は32試合に出場したが、出場機会のほとんどはガベージタイムで、インパクトを残せてはいなかった。 そのマイノットが、現地10月4日に行われたプレシーズンゲームの初戦、レイカーズを相手にチームハイの22得点を奪う活躍を見せた。エースのアンソニー・エドワーズ、新加入のジュリアス・ランドルが欠場し、他の主力も10分前後しかプレーしなかったこの試合、多くの若手にチャンスが与えられた。人々の注目を集めた1巡目指名ルーキーは期待に応え、ロブ・ディリングハムが21得点4アシスト、テレンス・シャノンJr.が14得点5アシストと活躍したが、マイノットはそれ以上のパフォーマンスで数日前のフィンチやコンリーの言葉を人々に思い出させた。 3ポイントシュートを決めたかと思えば強気のリムアタックからダンクに持ち込み、八村塁にプレッシャーを掛けてボールを奪う。29分のプレーでフィールドゴール11本中9本成功の22得点、さらに8リバウンド1アシスト3スティール2ブロックと文句の付けようのない出来だった。行けると思えば迷わず狙いに行ったダンクからは身体能力の高さを、6本中4本を決めた3ポイントシュートからは夏の間に打ち込んで練り上げたスキルを印象付けた。 メディアデーの会見でマイノットは「生まれてもうすぐ22年になるけど、今ほど自信を持ってジャンプシュートが打てていたことはなかった。練習してきたことが自信になり、自然にプレーできている。振り返れば僕は考えすぎていたんだと思う」と語っている。 今オフにはシュートフォームの改造に取り組んだが、彼に言わせればそれも自信を持つための方法論の一つでしかない。「以前は失敗を恐れていた。コーチに認めてもらうには完璧でなきゃいけない、このシュートを外したらドミノが倒れるように全部失敗してしまう、みたいな恐怖を感じながらプレーしていた。でも今はほとんど気にしない。『決まるか決まらないか、そのどちらか』ぐらいの気分で打つようになったら決まり始めた」 「過去2シーズンで結果を出せなかった理由が恐怖だけだとは思わないけど、自分で自分にストレスを与えていたんだと思う。不安を振り払い、スタッツを気にするのをやめて、自分の感覚でプレーするようになったらすべてが好転し始めた」 NBAプレーヤーとして確たる結果を残せていない今の状況を「確かに少し物足りないけど」と言いつつ、マイノットは自分の置かれた状況を正しく認識している。「僕はこの仕事を愛していて、Gリーグでもバスケができるのはうれしい。この2年間での学びは他のチームでは得られないものだと思う。カンファレンスファイナルに進み、勝利の文化を作るチームでそれを体験したんだからね」 マイノットは4年契約を結んでいるが、4年目はチームオプション。3年目の今シーズンが過去2年のようなものに終われば、もうチャンスはない。しかし今の彼は、一つダメならドミノが倒れるように……とは考えない。「以前の僕ならそのことばかり考えただろうけど、心配するぐらいならウェイトルームに行って身体を鍛えるよ。一日一日に集中してやっていくつもりだ」 主力のプレータイムが伸びれば、マイノットに多くのチャンスは訪れないだろう。次の機会でまたシュートタッチが良いとは限らない。だが彼はネガティブなことは考えず、目の前にある自分にやれることに集中する。マイノットのような選手の台頭があれば、「リーグで最も選手層の厚いチーム」というフィンチの言葉は実現し、それはウルブズにとって大きな強みとなるはずだ。