沢田研二「“オワコン”と言われてから復活」のすごみ 75歳のジュリーはなぜ再ブレイクできたのか
年をとっても、自分らしく生きるパワーは失わない。そのためか、団塊の世代が還暦を迎えた2006年頃から、よく出かけ、仕事を持ち趣味を楽しむことに意欲的なシニアが増えているという。彼らは「アクティブシニア」と名付けられている。 確かに、沢田研二をはじめ、70代でも元気に活躍する人たちを見れば、「後期高齢者」という表現より、「アクティブシニア」のほうがしっくりくる。 70歳から5年をかけてリベンジを成功させ、今なおステージを駆けまわり歌う沢田の活躍は、決して老後が「余生」でないことを見せつけられる。余りの生活なんてとんでもない。楽しんで、自由に人生の舵取りができる新たな生活、「新生」だ。
■“姿”が変わってもファンに愛されている 幾度となく起こる沢田研二の再ブームが、その才能と努力、そして彼を理解する長年のファンの存在によるものであることは、前述した通りだ。ここで少し、それを確信したエピソードを紹介したい。 私が沢田研二の記事を初めて書いたのは、2017年。グリーンの衣装を着た彼の画像が偶然ネットであがってきたのだ。1980年代の「麗しい」と形容された彼とはまた違い、昔よりも恰幅がよくなり、雄々しい感じがしてとてもすてきだったのだ。
その記事は想像以上の反響があったが、一番印象的だったのが、「現在闘病中で、ジュリーのコンサートに行くのを目標に治療を頑張っている」というコメントだった。文面には何度も「ジュリーを褒めてくれてありがとう」と記してあった。 ああ、まだ沢田研二は、これほどまでに愛されているのか、と本当に感動した。そして、なんとスターの存在は力強いことか、とも思った。ファンの気力体力につながる、それどころか、命を救うこともあるかもしれない。当時は今ほど「推し活」という言葉の認知度が高くなかったが、まさにアイドルは心の名医なのだと、このメールを読んで確信した。