会社を辞める時「確定拠出年金(企業型DC)」はどうすればいい?放置したら「国民年金基金連合会」に自動移換になるのか
確定拠出年金(企業型DC)は老後資金の準備に役立つ制度であり、勤務先で加入している方もいるでしょう。しかし、転職や退職時には「移換手続き」が必要で、仮に放置してしまうと思いもよらないデメリットが発生してしまいます。 ◆【早見表】退職時、企業型DCの資産はどんな制度に移換できるのか。脱退一時金を受け取る条件もチェック 適切な移換手続きは、退職後に年金資産をどうしたいかによって異なります。 本記事では、転職や退職の際に確定拠出年金(企業型DC)についてどのような手続きを取れば良いのか、また、手続きをしなかった場合のデメリットなどについて解説していきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
国民年金基金連合会への自動移換とは
確定拠出年金(企業型DC)への自動移換とは、退職により企業型確定拠出年金の加入者資格を喪失した方が、6カ月以内にiDeCoやほかの企業型DCに移換、脱退一時金の請求をしなかった場合、年金資産が国民年金基金連合会に自動的に移換されることをいいます(確定拠出年金法第83条)。 ただし、iDeCoやほかの企業型DCに口座があり、本人情報(基礎年金番号・性別・生年月日・カナ氏名)が一致する場合は、その口座に年金資産が移換されることもあります。
退職後の確定拠出年金(企業型DC)の手続き
確定拠出年金(企業型DC)に加入していた方が退職した場合、確定拠出年金(企業型DC)の手続きには、主に次の方法があります。 ・転職先の確定拠出年金(企業型DC)に加入する ・iDeCoに加入する ・脱退一時金を受け取る ●転職先の確定拠出年金(企業型DC)に加入する 転職先の企業に確定拠出年金(企業型DC)があれば、これまで積み立ててきた年金資産を移換可能です。 退職すると、金融機関から確定拠出年金の口座についての資料が送付されます。転職先の企業に確定拠出年金の口座を保有していることを報告し、担当者の指示に従って、「資産移換依頼書」などの書類を新しい金融機関へ提出します。 なお、企業によって確定拠出年金(企業型DC)で取り扱っている運用商品が異なるため、新しい勤務先の運用商品の中から選び直す必要があります。 ●iDeCoに加入する 退職後にiDeCoに加入する場合は、ご自身でiDeCoを取り扱っている金融機関を選び、加入申込手続きをします。iDeCoを取り扱っている金融機関は、iDeCo公式サイトで確認可能です。 金融機関によって取り扱っている運用商品や手数料が異なるため、各金融機関の特徴を把握し、ご自身にとって利用しやすいところを選びましょう。 ●脱退一時金を受け取る 確定拠出年金(企業型DC)は、原則として60歳まで資産を引き出すことはできません。ただし、一定の要件を満たす場合のみ、脱退一時金を受け取ることが可能です。 2017(平成29)年1月以降に退職(資格喪失)した場合の脱退一時金の支給要件は以下の通りです。 【年金資産額が1万5000円以下の場合】 年金資産額が1万5000円以下で、次の2つの要件のいずれも満たしている場合。 ・確定拠出年金(企業型DC)・iDeCoの加入者・運用指図者でないこと ・確定拠出年金(企業型DC)の資格喪失日の翌月から起算して6カ月を経過していないこと 【年金資産額が1万5000円超の場合】 ・確定拠出年金(企業型DC)・iDeCoの加入者・運用指図者でないこと ・確定拠出年金(企業型DC)の資格喪失日の翌月から起算して6カ月を経過していないこと ・60歳未満であること ・iDeCoに加入できない者であること ・日本国籍のある海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと ・障害給付金の受給権者でないこと ・確定拠出年金(企業型DC)またはiDeCoの掛金拠出期間が5年以内であること、または、年金資産額が25万円以下であること なお、確定拠出年金(企業型DC)の資格を喪失した日が2016年12月31日以前の場合は、2017年1月の法改正前の支給要件が適用されます。