会社を辞める時「確定拠出年金(企業型DC)」はどうすればいい?放置したら「国民年金基金連合会」に自動移換になるのか
国民年金基金連合会に自動移換されるデメリット
確定拠出年金(企業型DC)の年金資産が、国民年金基金連合会に自動移換されると、どのようなデメリットがあるのか確認していきましょう。 ●運用指図ができなくなる 国民年金基金連合会に自動移換された年金資産は、現金として管理されることになり、運用することができなくなります。 引き続き投資商品として運用していれば利益が得られる可能性がありますが、現金で管理されているだけでは資産を増やすチャンスがありません。 また、現金のまま長期間放置していると、物価上昇により資産価値が低下していく可能性があります。 ●手数料がかかる 自動移換後は、年金資産の運用ができずに資産を増やせないだけでなく、手数料がかかる点もデメリットです。主な手数料として、以下のものがかかります。 ・自動移換時にかかる手数料:4348円 ・毎月の管理手数料:月額52円、年間624円 ・自動移換後にiDeCoに移換する場合:3929円 ・再就職先の企業型年金に移換する場合:1100円 管理手数料52円は、毎月年金資産から差し引かれるため、長期間放置するほど資産が目減りしてしまいます。 ご参考:移換先別の手数料 企業型確定拠出年金へ移換する場合、移換先の機関で手数料がかかるケースもあります。 移換により生じる手数料は移換された資産から差し引かれるため、別途、支払う必要はありません。資産が0円の場合は、手数料負担はありません。 ●年金受給開始時期が遅くなる可能性がある 確定拠出年金(企業型DC)を60歳から受給開始するには、加入者等期間が10年必要です。 自動移換の期間は、確定拠出年金(企業型DC)の加入者等期間とはみなされないため、受給資格要件を満たせず60歳からの受け取りができない可能性があります。 そのため、老後資金の準備や定年退職後の働き方などに影響が出ると考えられます。
まとめにかえて
退職する企業で確定拠出年金(企業型DC)に加入していた場合は、資格を喪失してから6カ月を経過しないうちに、移換手続きを取る必要があります。 そのまま放置すると、年金資金が現金化され運用ができなくなる、手数料がかかる、年金受給開始時期が遅くなる可能性があるといったデメリットがあります。 これまで形成してきた年金資金をさらに有効活用できるように、他の確定拠出年金(企業型DC)に加入したり、iDeCoに加入したりと、適切な手続きを取りましょう。
参考資料
・e-Gov 法令検索「確定拠出年金法」 ・知るぽると「(2) 企業型確定拠出年金(DC)」 ・企業年金連合会「自動移換」 ・iDeCo公式サイト「就職(転職)・退職された方へ」 ・iDeCo公式サイト「加入希望者の方へ」 ・厚生労働省「2020年の制度改正(確定供出年金制度)」
木内 菜穂子