『SPRING Party!』で見つけた素敵なシェビーバンのカスタムカー!アメ車のカスタムカルチャー「ストリートバン」の始まりはサーファーだった!?
ピックアップトラックベースなのでカスタムは思いのままメーカー直系のカスタムオプション車も登場
アメリカン・カスタムカルチャーの本場であるカリフォルニアでは、VWタイプIIのブームの頃から自分好みに内外装を改造するのが流行っていたが、前述の通りフルサイズバンはピックアップトラックをカスタマイズするノウハウと豊富なアフターパーツが使えたことからバンがカスタムの素材に選ばれることが次第に増えて行き、やがてはSTREET VANという新たなカスタムジャンルを誕生させることになった。 フルサイズバンをベースにすればパワーアップも車高の変化も思いのまま。ボディに手を加えてオリジナリティあふれる個性的なルックスにしたり、好みのホイールを履かせたり、豊富なカスタムパーツを用いてメッキ装飾によるゴージャスなルックスに変身させることが可能であったし、ペインターに依頼して極彩色に塗り替えたり、フレイムスやトライバルパターン、ピンストライプやブラシアートを施すことで世界に1台の個性的なマシンに作り替えることなど雑作もないことだった。 もちろん、エクステリアに合わせてインテリアもカスタムされた。キャンピングカーのようにテーブルやベッドを備えたり、オーディオに手を加えたり、シートをフェイクファーやラグで居心地の良いものとしたり、床をウッドやクッション材で張り替えたりと、オーナーたちはそれぞれ自室の模様替えをするような感覚で自分好みのスタイルを追求したのである。 商売に聡いメーカーがこうした状況を見逃すはずもなく、ブームに便乗して充実したディーラーオプションを用意するだけでは飽き足らず、ダッジの営業部門などはそっくりそのまま『STREET VAN PACKAGE』という名前でパッケージオプションを用意するほどだった。
映画を通じてアメリカ流のバンライフが日本でもブームに
アメリカでのこのブームは1970年代末に海を超えて日本にも到来。当初はアメリカ車ファンを中心に一部の好事家による静かなブームであったが、1979年に公開された映画『バン・バニング・バン(原題:Van Nuys Blvd)』によって、アメリカの若者によるバンライフが紹介されると、「バニング」という言葉とともに、カスタムのジャンルとして世間に広く認知されるようになった。 バン・バニング・バン(原題:Van Nuys Blvd)/1979年公開 L.Aにある「バンナイス・ブルバード」を舞台にそこに集まる若者の恋とカーライフをコミカルに綴った青春映画。1974年度のプレイメイト・オブ・ザ・イヤーのシンシア・ウッドをヒロイン(お色気シーンあり)に迎えた低予算のB級映画で、監督はウィリアム・サックス。当時のSTREET VANの姿と若者のバンライフを知る上で貴重な映像資料となるのだが、日本ではソフト化されておらず、残念ながら現在のところ視聴は困難。邦題で使われた「バニング」という言葉が日本で浸透するのはこの映画のおかげとなる。なお、シンシア・ウッドは『地獄の黙示録』のカウガールスタイルのプレイメイト役を演じたことでも知られる。また、1983年公開の劇場アニメ『ゴルゴ13』にシンディ・ウッド名義で日本語の挿入歌を提供したほか、心理学の博士号を持つなど意外に多才なピンナップガールだった。 その結果、それまで正規・並行問わず輸入されることがまずなかったフルサイズバンが次々に上陸。だが、アメ車の新車は今以上に高価であり、それらを買えるのはごくわずかな資産家とその子弟に限られた。大多数の若者はハイエースやキャラバンという安価な国産車をベースに思い思いのカスタマイズを施し、バンライフを楽しむこととなった。 やがて、この流行はより過激に、さらに目立つスタイルへ先鋭化することになり、STREET VANとはまったく異なる「バニング」という日本独自のスタイルに変化して行ったのは先ほども述べた通りだ。
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