反発する原油価格 安定的上昇が続いた場合、世界経済への影響はどうなる?
以上を整理すると、筆者の予想に反して原油価格が持続的に上昇した場合、 (1)米個人消費の打撃が限定的であると同時に、(2)米製造・エネルギー業への恩恵およびその波及効果も限定的で、トータルでは米国経済の成長軌道に大きな影響を及ぼさないとみられます。 一方で、原油をはじめとする資源価格の上昇は(3)資源・新興国経済の追い風となり、グローバル金融市場の安定化に貢献するでしょう。本邦金融市場に与える影響としては、いわゆる“リスクオフの円高”とそれを嫌気した株価下落が回避される一方、原油安の恩恵を享受してきた一部業種では円高と原油価格上昇が逆風となるでしょう。 (第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。