産前産後どうだった? サポート役「ドゥーラ」を利用するメリットと注意点
ドゥーラを雇う際の注意点
一番の問題は、ドゥーラが健康に関するアドバイスをすることを許されていないにも関わらず、健康上の不安を抱える女性サポートしていることにある。「これはグレーな領域です」と言うタリク医師によると、女性の体は教育現場と医療現場の両方で何十年も慢性的に無視されてきた。コミュニティレベルでの情報共有が必要になっているのも、この現実が背景にあるからだ。 満たされていないのは身体的な医療ニーズだけじゃない。慢性ストレス・疾患・トラウマを専門とする健康心理学者のスーラ・ウィンドガッセン博士によると、医療現場で自分が無視されている、あるいは脇に追いやられていると感覚は疎外感を醸成する。 「病気のときは(栄養やエネルギーの)補給が必要ですが、国の医療システムにおけるジェンダーギャップのせいで、女性は問題解決者、支援者、医療コーディネーターという複数の役割を担わざるを得ません。それが私たちのキャパシティを超えることもしばしばです」とウィンドガッセン博士。「自分が孤立している、自分を支えてくれる人が誰もいないと感じている状況で、女性がアクセス可能な救済手段を頼るのは当然です。それも既存の医療システムにはない、思いやりのある感じのいいアプローチで来られたら、ますます頼りたくなるでしょう」 最終結果(孤独感をもたらすような健康上の問題やライフステージの最中で、女性が思いやりのあるサポートを受けること)は手段(そのサポートを誰から、どのように受けるか)より重要と言う人もいるだろう。 実際に、タリク医師はこの意見に共感している。「女性が求める情報を握っているのが必ずしも医師や看護師である必要はありません」。女性に必要なサポートを提供するため、このスペースに足を踏み入れる人はみんな歓迎。「でも、医学的な資格や、その分野に特化した資格を持たずに医学的なアドバイスをする人には注意が必要です」 「国の医療システムにアクセスしづらくなっているいま、資格を持たない医療従事者による追加のサポートが必要とされているのは確かです」とウィンドガッセン博士。鍵となるのは識別力。「普段の生活を混乱させるほど多くの制限を伴う、非常に細かいプロトコルは怪しいですね。他の専門家からもサポートを得ている場合は、その人にドゥーラが提案しているプロトコルの是非を聞いてみましょう。そこで退けられるのも危険信号の1つです」 ウィンドガッセン博士は根拠のない高額な価格設定にも注意を呼び掛けている。「ちょっとしたマーケティング戦略でクライアントから大金を巻き上げる方法を無資格の専門家に教えている業界があります。まずは有資格の専門家を頼ったほうがいいでしょう」 アナは、当時の自分がインスタグラムを使っていたら、不妊治療専門のドゥーラを探すことはなかったと言う。ずっとあとになって彼女は、自分と同じような経験をしている人からのサポートや、不妊治療専門医や公認管理栄養士からの偏りのない情報がインスタグラムで得られることを知った(ただし、インスタグラムには、非医学的なアドバイスを提供している不妊治療専門ドゥーラや更年期専門ドゥーラのアカウントもあるので要注意)。