入寮し、マスコットキャラクターのカビーとたこ揚げをする柴田（撮影・木村　揚輔）

　何とかたどり着きました。日本ハムのドラフト1位・柴田獅子（れお）投手（18＝福岡大大濠）が6日、千葉・鎌ケ谷の「勇翔寮」に育成を含む他の7選手とともに入寮した。地元・福岡から単身での上京で、慣れない飛行機移動などで大苦戦。最速149キロで高校通算19本塁打と投打で無限の可能性を持つ18歳の“珍道中入寮”だった。 【4コマまんが】日本ハム・柴田の入寮までの珍道中 　　次から次へと試練が襲った。福岡からの単身、千葉・鎌ケ谷入り。18歳の柴田にとっては難易度が高かった。 　福岡空港で見送りの両親と別れた。まずは、スマホでの搭乗券の表示方法が分からず、四苦八苦。保安検査場の通過は締め切りの2分前だった。修学旅行で関東を訪問したが、飛行機にも乗り慣れず「自分でどう飛行機に乗るか確認しておけば良かった」と反省。さらに羽田空港で壁にぶつかった。「携帯で調べても全然、分からなかった。誰に聞いたらいいかも分からなくて、冷や汗が出まくりでした」。首都圏の複雑な電車の乗り換えが分からず、40キロ以上離れた「勇翔寮」までのタクシー移動を決断。だが、乗り場探しにも30分以上かかった。 　無事にたどり着き乗車料金は「1万円ぐらい」ととぼけたが、高速代含め約1万7000円が相場。初詣でも「負けず嫌いなので当たるまで引きます、毎年」と2回目でおみくじの大吉を引いた剛腕ぶりを発揮し「諦めないのが大事。焦っても平常心」と笑った。 　入寮では22年に西武のドラフト1位左腕・隅田が、地元・長崎に財布を忘れて担当スカウトに1万円を借りて羽田空港から電車移動した例があるが、負けない珍入寮。だが、タクシー運転手がなんと鎌ケ谷出身という奇跡があった。「道案内とか観光ガイドをしてもらった」と喜んだ。 　二刀流を超える可能性を秘める逸材。13年の大谷（現ドジャース）は投手用と外野用のグラブを携えて入寮したが、柴田は内野用も加えた3種類を用意し近く寮に届く。「入寮を待ちわびていた。野球選手としてのスキルを鎌ケ谷で磨きたい」。8日からの新人合同自主トレへ、もう焦りはなかった。