カマラ・ハリスはなぜZ世代を落胆させた? 女性政治家が「ガラスの天井」を打ち破るために“重要なこと”
女性政治家を取り巻くこうした状況は、8年間で変わったのだろうか。ハリスが正式に民主党の大統領候補者として指名された直後に発表されたCBSニュースの世論調査では、「アメリカは黒人女性を大統領に選ぶ準備ができているか?」との質問に対し、68%が「はい」と答え、「いいえ」と回答した32%の2倍超となった。 もっとも、2023年9月に行われたピュー・リサーチ・センターの調査では、「自分が生きている間に女性大統領が誕生すること」について「重要でない」と答えた人は、共和党支持者では86%に及び、民主党支持者でも43%に及んだ。アメリカ世論は、女性大統領に敵対的ではないが、初の女性大統領を誕生させることに積極的な意義を見出しているわけでもない。
若い男性ほど……
さらに憂慮されるのは、若い男性に広がるアンチ・フェミニズムだ。30歳未満の女性が圧倒的にハリスを支持しているのに対し、同年代の男性はトランプをハリスより支持している。どの年齢層にもこの傾向は見出されるが、男女が支持する候補者の違いはZ世代有権者の間で最も大きい。「男性と女性のどちらが政治指導者として優れているか」という質問に対しても、Z世代男性は、上のどの世代の男性よりも、「男性の方が政治指導者として優れている」と答える傾向が高い。その理由として最も多く挙げられたのが、「女性は十分にタフではない」ことだった。 女性進出への反感も若い男性ほど強い。2024年6月に発表されたピュー・リサーチ・センターの世論調査によると、年齢や性別を問わず、圧倒的多数の男性有権者が「女性の進出は、男性を犠牲にするものではない」と回答したが、トランプ支持の男性に限定すると、3分の1が「女性の進出は男性の犠牲による」と回答し、50歳未満の男性にこう回答する傾向がより強く見られた。アメリカ初の女性大統領の誕生を歴史の前進ではなく、「男性の犠牲」と捉える人も少なからず、しかも若い世代ほど多くいるのだ。