ナイキやアンダーカバーが注目するタトゥーアーティスト・TAPPEI:その歩みとデザイン哲学
かつてアウトローの象徴であったタトゥーはいま、日本でもファッションのひとつとして広まりつつある。 その中心的なアーティストのひとりがTAPPEIさんだ。独学でタトゥーを始め、ポップなキャラクターがちりばめられたピースフルな作風で注目を集めている。NIKEやUNDERCOVERなど国内外の有名ブランドとのコラボレーションも絶えない。 本記事ではTAPPEIさんのタトゥースタジオを訪問。クリエイションの秘密や、新しいカルチャーとして生まれ変わろうとしているタトゥーの魅力を聞いた。
タトゥーに夢中の小学生
ーTAPPEIさんがタトゥーに惹かれたきっかけや、ルーツについて教えてください。 はじめてタトゥーを知ったのは、小学生のときです。自宅で父親が見ていた映画に刺青が映っていたんですよね。たしか日本の任侠映画だったと思います。父親に「これなに?」って聞いたら、「イレズミといって、肌の中に絵が入っているんだ」と教えてくれて。そのとき、ものすごくかっこいいと思いました。 それからずっとタトゥーに憧れて、高校を卒業した日に胸元にタトゥーを入れました。
ーはじめから彫師の方に依頼していたんですか? はい。高校生のころにはタトゥーアーティストという職業のことも調べていたので、絶対プロの方に入れてもらおうと考えていました。「TAPPEI」という名前をスターの形にしたデザインを持ち込んで、彫っていただいたんです。 その3ヶ月後にはタトゥーマシンを買って自分で彫りはじめていました。とはいっても僕には師匠がいないので、ひたすら自分の体に彫って練習するか、友達に声をかけて彫らせてもらうところからのスタートです。お金ももらっていませんでしたし、趣味のような位置付けでした。
ーいつごろからタトゥーが仕事になったのでしょうか。 大阪から東京に出てきた、2015年ごろです。ANNABIS[1]のスタッフとして働いていたのですが、僕がタトゥーを彫っていると店長に言ったら、閉店後にスペースを貸してくれたんですよ。そこから徐々にお客さんがついてきて、2020年に自分のタトゥースタジオを開きました。