夏イメージと作詞/執筆:二名敦子
こんにちは、二名敦子です。 寒さも本格的になって来ましたね。 秋~冬にかけてライブで困るのは セットリストです。 私の持ち歌の半分以上が 夏のリゾートっぽいものが多く 季節感に欠けるのです。 結局、ほぼ夏な選曲で やるんですけど。 二名敦子さんの1ヶ月限定寄稿コラム『TOWN TALK』を読む。
そんな中、秋冬ライブのオープニング曲として重宝しているのが杉真理さんに作っていただいた 「Wonderland 夕闇 City」です。 サビの部分♫Wonderland 夕闇 City~♫ のフレーズが印象的です。 佐藤準さんの華やかなアレンジも相まって ガラスの金曜、灯るイルミネーションが浮かぶオールシーズン対応のダンサブルな1曲なのですが。 実はこのサビの部分、杉さんのデモテープでは♫Wonderlandではなく ♫バタフライ と歌われていたのです。
当時、この曲を作詞した田口俊さんは、REICOというデュオグループを組んでいらっしゃいました。もう一人のメンバーは堀口和男さん。 お二人とはレコード会社のレーベルや制作スタッフが同じで、私のレコーディングにほぼ毎日顔を出してくれていました。いい曲をたくさん書いていただきました。 歌入れの時、リラックスさせてくれたり、アドバイスをいただいたり。 年の離れた制作スタッフに相談できない事も お二人には気軽に言えるありがたい存在でした。
「Naturally」というアルバムのレコーディングをしていた1985年の夏、堀口さんは水泳にハマっていました。 プールの魅力を熱く語る堀口さん。泳法もバッチリで、通っている屋外プールもご機嫌なんだと。 話を聞いているうちに私もそのプールに行きたくなって、無理矢理連れて行ってもらいました。
当時は泳げなかったバタフライを教えて欲しくて。 その日プールにいたのが杉真理さん。 お会いした時は遠目で挨拶したくらいだったのですが。 その後、杉さんにお願いした曲には サビに♫バタフライ の歌詞が入っていました。 バタフライをWonderlandに変えて 夏のプールから夕闇City 全然別の世界を描き切った田口さんなのでした。 もし、あのまま バタフライ の歌詞が採用されてたら どんな曲になっていたんだろう? ちょっと聞いてみたかったですね。 三浦徳子さんにもたくさん歌詞を書いていただきました。 印象的な ふわっとした手書きの文字(当時は歌詞も譜面も手書き)。 字面で見るより歌った方が魅力的になる歌詞でした。 「ブギー・ボード」という曲の歌入れの時、 ♫私だけの王子様♫ という歌詞が 当時、私としてはどうも照れ臭くて。 徳子さんに相談したら 「あー、はいはい」とすぐに ♫ちょっと違うクールガイ♫ というフレーズを捻り出してくれました。 今なら♫私だけの王子様♫、全然歌えるんですけど。 一昨年、カセットテープを整理していたら「村田選手」と書かれた1本が出てきました。 うん?阪急ブレーブス? 棚の奥にしまってあったカセットデッキを引っ張り出しヘッドホンを装着。 聞こえて来たのは 村田和人さんと私のデュエット。二人ともピカピカの若い声。 そう言えば、こんな曲あったなー。二人で作ったのか、村田さんが作って二人で歌ったのか。 メロディは覚えていたけれど、すっかり忘れていた曲。 村田さんが亡くなる前に思い出せなかったことが 残念。 歌詞も譜面もないけれど、皆さんにこの曲をライブで聴いて欲しくて。 なんとか歌詞を書いてみるけれど、なんだかピンとこない。 う~ん う~ん 唸りながら書き直しても思うことが言えない。 これは、あかん。 ついに私はメールを出すことにしました。 「安藤さーん 助けて~~」 作詞家、安藤芳彦さん、村田さんのスマッシュヒット「1本の音楽」をはじめ沢山のヒットソングを書いていらっしゃる。 私のアルバムFluorescent Lampのサウンドプロデューサーもやっていただきました。 作詞を生業にしてる方にライブで歌うための曲をお願いするのは心苦しかったけど 「もちろん引き受けますよ!」快諾をいただいた。 そして安藤さんは村田さんが歌うデタラメ英語を文字に起こし(すごく大変だったと思う、)私の書いた歌詞と合わせ 村田さんが生前いっておられた言葉をフレーズに入れ、素敵な歌詞を完成させてくれた。 「僕と村田と二名さんと3人の共作にしよう!」 ライブでは村田さんのパートは一緒にやっているフラリーパッドの前田大輔さんが歌うことに。