瀬戸内海の離島が「高校留学先」として注目のワケ 「全校生徒数が93名」の広島県立大崎海星高校の実態
その次の2年生での潮目学は知的資本をインプットするための学習期間と考えられますが、3年生の航“界”学という成果発表を最大化するための計画的な流れで構成されていると思います。実際に3年生のクラスを見学した際には、地域の食について熱弁する学生がいたり、伸び伸びと前のめりで課題に取り組んでいる姿が印象的でした。 特徴の2つ目、公営塾「神峰学舎(かんのみねがくしゃ)」は、生徒が自律した学習者となることをサポートする校内に設置された個別学習の場所で、「夢★ラボ」というキャリア教育の特別講座も定期的に開催されるということです。
最後に教育寮「コンパス」には、自治体の運営のもと1学年10人、3学年で約30人を収容、ハウスマスターがここに滞在する学生のサポートを担当しているそうです。地域みらい留学の学生もこの施設に滞在しながら共同生活のもと、学校に通っています。 ■地域みらい留学がスタート その後、生徒数を底上げする目的で、全国からの学生を募集する地域みらい留学の受け入れもスタートするようになるのですが、その募集方法もこの学校らしさが表れています。生徒が学校の魅力を説明する部活「魅力郵便局」を設立し、生徒募集を生徒自身に任せることにしたのです。東京の説明会会場に同校生徒約10名が等身大の経験をプレゼンすることで、来場した親は自分の子供の数年後をイメージしやすくなる効果を生み、評判となっていったそうです。
同校の兼田侑也先生は言います。 「広報活動(説明会に参加)することで生徒は、生徒同士で切磋琢磨し、プレゼンのフィードバックをその場で感じることができ、彼らの自信にもつながっていきました」 結果としてブースの来場者も増加し、学生の成長にもつながる好循環が生まれているようです。また先生によると、現在は学生数の3分の1くらいが地域みらい留学の学生で占められるようになっていて、新入生は先輩のプレゼンに憧れて入学しているため、ある程度自発的にプレゼンができる状態の生徒も多いということでした。