《ブラジル》リオ・グランデ・ド・スール州大洪水 苦境の日本食店、支え合い忘れず 避難所に食事提供、寄付呼びかけ
リオ・グランデ・ド・スール州の洪水による大災害は、あらゆる産業に影響を及ぼしている。住民の食生活を支えてきた飲食店や小売店は、業態を一部変更しながらも営業を再開し、避難所へ食事を届けるボランティアを並行して行う店もある。 ポルト・アレグレ市内の日本食料理店「Danjou(檀上)Lámen & Izakaya」は店舗のひとつ前の通りまで水が来たが、浸水は免れた。オーナーで日本人の門阪緒さん(かどさかはじめ、京都府、44歳)は被災した近隣住民らが家財を手に避難する様子を目の当たりにし、力になりたいと延長コードを繋げて携帯の充電サービスを行った。 店舗は浸水こそしなかったものの断水しており、ボトルの飲み水を使用してデリバリーのみの営業を行う。食材の供給業者も浸水被害を受け、注文を受け付けできないという連絡も来ている。「家を失った従業員は他の従業員の家で暮らし、どうにか生活している。寒い時期は例年ラーメンが売れるが…店の経営はとても厳しい」と生活、経営共に苦しい現状を吐露する。
「少しでもできることを」と、店のインスタグラムで寄付を呼びかけ、駐在や旅行などで同地を訪れたことがある日本人らから7万円(14日時点、約2100レアル)が集まった。デリバリーで注文すると、焼きそば1つを店から災害ボランティアに届ける取り組みも始めた。寄付金もこの取り組みに活用し、「日本のように災害が起こったことがない地域。他のレストランもこうした取り組みをしているし、地域の誰もが助け合っている。できる限りは続けていきたい」と力を込める。 ポルト・アレグレ市内の日本食材店「光HIKARI」は浸水被害に遭わなかったが、「災害の状況と治安の弱体化もあり、配達のみに営業を縮小していた」と創業者でオーナーの永野マルガリーダ・フミエさん(2世、54歳)は話す。15日からは営業時間を短縮して再開したが、「売上げへの影響があるので、経費を維持していくことが心配」と懸念する。 一方で、店舗では避難所への支援物資の受け入れも行っている。加えて4日からは、永野さんが通う教会の活動に賛同し、避難所に届ける弁当作りに協力。毎日200食を作り、累計2000食以上が避難所に届けられた。「私も何か力になりたいとの思いで場所を提供している」と支援の輪をつなげていく思いだ。