「隠れ痛風予備群」は推計500万人!高い尿酸値は心房細動や動脈石灰化のリスクに…上皇陛下執刀医オススメ<プリン体を抑える方法>
◆高尿酸値は血管の壁を厚くし、動脈の石灰化にも関係する 論文の筆頭著者は、「尿酸が心血管代謝を介する機序によって心房細動のリスクと関連するだけでなく、ほかのメカニズムを介して心房細動の発症に直接影響を与え得ることを意味する。メカニズムの特定にはさらなる研究が必要だが、炎症が関与している可能性がある」と述べています。 実際、高齢者における心房細動は、加齢に伴う心房筋細胞の劣化で生じた慢性炎症によって起こっているという考え方があります。 そのうえで、尿酸値が体に望ましい値を超えると、炎症のコントロールが不十分になって心房細動につながる可能性が指摘されているのです。 今のところ、この研究だけでは、尿酸値が高い状態=高尿酸血症が直接的に心房細動のリスクを高めるのか、尿酸値を下げれば心房細動を予防できるのか、尿酸値は単なるマーカーにすぎないのか、といったことまではわかりません。 ただ、尿酸値が心血管疾患の発症と大きく関係しているという報告が欧米に数多くありますし、高尿酸血症の人の死亡原因の第1位は心筋梗塞などの心血管疾患というデータも出ています。 尿酸が基準値を超える状態が続くと、血管の細胞が尿酸を取り込んで血管の壁が厚くなり、血液の通り道が塞がれて心筋梗塞や狭心症のリスクが高まるのではと考えられているのです。 また、高尿酸値は動脈の石灰化にも関係していることも明らかになっています。
◆プリン体を控える食生活が難しければ、生成を抑える薬を服用する 日本人の男性は、戦後のライフスタイルの変化などが要因となり、基本的に高尿酸血症に傾いている人が多く見られます。 実際、日本では痛風患者が約100万人、また“隠れ痛風予備群”ともいわれる無症候性高尿酸血症は、500万人はいると推計されています。 痛風や結石といった高尿酸血症による疾患はもちろん、心臓を守る意味でも、尿酸値をしっかりコントロールすることは大切です。 尿酸値を下げるには、プリン体が多く含まれる肉や魚介類、アルコール類の摂取を控えるなどの生活習慣の改善が重要ですが、それが難しい人は薬による治療を検討したほうがいいかもしれません。 尿酸値を下げる薬には、尿酸の生成を抑える「尿酸生成抑制薬」と、尿酸の排泄を促す「尿酸排泄促進薬」の2つのタイプがあります。これらは古くから使われているため、作用機序や副作用についてしっかり把握されていて、効果と安全性が確保されています。 また、尿酸生成抑制薬は尿酸値を下げるだけでなく、老化防止に関与しているのではないかともいわれていますし、心筋保護の作用があって慢性心不全の進行を遅くするという副次的な効果も指摘されています。 ほかにも抗血小板薬(こうけっしょうばんやく)と一緒に使ったとき、少量の抗血小板薬でも血小板凝集能の抑制が高くなるという報告もあります。 このように、尿酸値を下げる薬は、心臓に対してもプラスに働いていると経験的に考えられているのです。
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