こんなに「大人が集まるディズニーランド」は日本だけ…子ども向けだった「雑貨」を日本人女性が夢中で買うワケ
■「ディズニーに頼る企業」とは組まない 次に、私がウォルト・ディズニー・ジャパンをV字回復させるためにとった第三の秘策は、「勝ち組企業と組む」ということでした。 これは特に、BtoB(Business to Business)、つまり企業間取引をする場合に、私が気をつけていたことでした。企業間取引とは、主に企業と企業が行う「コラボレーション」を指します。 ウォルト・ディズニー・カンパニーのようなコンテンツのライセンスを握っている企業とは、多くの企業がコラボレーションをしたいと考えています。そのため、さまざまな企業からコラボレーションのお話をいただくのですが、同社に入社して私が行ったのが「コラボする相手は勝ち組企業にする」ことでした。 私が入社した当初は、450社ものライセンシー(ディズニーの許諾を得て、そのライセンスを利用したビジネスをする企業)がありました。ところが、そのうち上場企業はたったの10%しかいませんでした。 残りの90%は、売上が30億円未満の中小企業で、自社のブランドを持っておらず、ディズニーのライセンスに頼って商売しようとする企業でした。 そうした状況を改善しなければならないと決意した私たちは、思い切ってそういった中小企業との契約をやめることにしました。そして、勝ち組企業とだけ組むことにしたのです。 ■マスマーケットでも「トップ企業」と組む 具体的にどうしたかといえば、まず、ホーム、ファッション、雑貨、食品、トイ(おもちゃ)、文具、書籍などのジャンルに分けて、その中でトップの売上を上げているプレーヤーをリストアップすることから始めました。 そして、まずラグジュアリーなどでハイブランドとコラボしました。有名な例ですと、メルセデスベンツともコラボしています。次にミッドエンドとコラボし、最後はマスマーケットですべてのニーズを刈り取りました。ここでマスマーケットをメインとしてしまうと、ディズニーのブランドイメージが下がってしまいます(図表1参照)。 特に100円ショップは各社キャップ(上限枠)を設けてコントロールしていました。つまり、まずはユニクロ、コーセー、バンダイ、キリンビバレッジ、アサヒ飲料、ヤクルトなど、それぞれのジャンルのトッププレーヤーの企業にアプローチしたのです。 私はほぼ毎日トップ営業をしていました。当時の私の秘書が非常に優秀だったこともあり、だいたいどの企業も社長室に電話をしたら社長が面会に応じてくれました。そのため、上場企業社長300名以上の名刺が私の手元にあります。 ちなみに、ウォルト・ディズニー・ジャパンには30名ほどの優秀な営業とクリエイティブがいましたので、例えばその時に公開予定のディズニー映画のキャラクターをデザインに落とし込んだ案を事前に作ってもらい、それを持って私たちが提案しに行きました。「美女と野獣」であれば、交渉先の企業が興味を持つような商品に、あらかじめ「美女と野獣」のデザインを落とし込んだ試作品を作り、それを持っていって提案させていただくわけです。