こんなに「大人が集まるディズニーランド」は日本だけ…子ども向けだった「雑貨」を日本人女性が夢中で買うワケ
■ガイドブックのデザインや商品展開を工夫 おとなディズニーという施策のために、私たちが具体的にとったアクションは、「各カテゴリーのデザインガイドブックを子どもやファミリー向けのかわいいデザインから、大人用の洗練されたデザインに変更した」ことと、「商品展開を大きく変えた」ことでした。 大人の特に「F1層(20~34歳の女性)」と「F2層(35~49歳の女性)」に訴求するような商品を多数用意して、展開することにしました。特に強く展開したのは雑貨です。雑貨とは、化粧雑貨、ホーム雑貨、ファッション雑貨、ステーショナリー雑貨の総称です。日本のビジネス界では雑貨というカテゴリーは一般的ですが、外国ではあまり知られていません。 ちなみに、もともと日本のディズニーランドの来園者は大人の比率が非常に高くなっていました。海外のディズニーランドは、今も半分以上が子ども、つまりファミリーが来園しているのに対し、日本のディズニーランドは、大人たちが多くやってくるという非常に珍しいテーマパークになっているため、このおとなディズニー施策が功を奏したのです。 ■ディズニー本社や海外の支社にも影響 ライセンスビジネスの「おとなディズニー」という施策は、完全に日本独自のものであり、ディズニー本社ですら気づかなかった新機軸(ホワイトスペース)を開拓することに成功した施策でした。 私がディズニーにいた頃に行った施策のうち、最も成果が上がったものはと聞かれたら、真っ先に「おとなディズニー」と答えます。実際のところ、このおとなディズニーという日本独自のローカライゼーションは、ディズニー本社や海外の支社でも勉強されるようになりました。 コンシューマープロダクツ部門は、さまざまな国にありますので、そこからほぼ毎月誰かが日本に研修に来たり、私もロサンゼルス本社やロンドンのヨーロッパメインオフィス、シンガポールオフィス(東南アジア)、上海などに赴いたりして、おとなディズニーのローカライゼーションについてプレゼンしました。その結果、アメリカ本社では「おとなディズニー」と「ザッカ」が共通語になりました。