ゼレンスキー氏、日本メディアに語り尽くした1時間 千日超えたウクライナ侵攻、その行方は(前編)
▽次期米大統領トランプ氏とのディールとは ―ウクライナの最大の後ろ盾であるアメリカでは2025年1月20日、取引によって戦争を早期に終結させると主張しているトランプ氏が大統領になる。どう対峙するのか。 「ウクライナの誰もが、この戦争を終わらせたいと考えている。一日も早く公正な形で終わらせることが重要だ。ロシアからの最後通告を受け入れないことが特に重要だ。誰も受け入れることはない。トランプ次期米大統領とそのチームも、それを理解している。 今年、私はトランプ氏と3回連絡を取った。電話で2回、対面で1回だ。直近の会談で「勝利計画」を彼に伝えた。私たちは彼のチームと連絡を取り合い、詳細を伝え説明した。トランプ氏側からの返答を待っている。勝利計画は戦争を終わらせる計画ではなく、その前にウクライナの立場を強化するための計画だ。ウクライナは強い立場でなければ外交について語ることはしない。誰もが迅速な平和を望んでおり、トランプ氏に期待している。彼の提案を聞きたい。彼らは計画の詳細を検討しており、その結果を聞くつもりだ。ウクライナが降伏することはない。トランプ氏も分かっているはずだ」 ▽ゼレンスキー氏の考える最悪の事態
―ウクライナは米欧の軍事支援を失えば、戦争を継続することはできない。平和を実現するには支援が欠かせないというのがウクライナの立場だ。 「なぜ迅速な平和が必要か。人々はこれ以上戦争で苦しみたくないからだ。トランプ氏と彼のチームも戦争を迅速に終わらせることができるとしている。だが個人的には迅速に終わらせるのは難しいと考える。なぜならプーチンが望んでいないためだ。彼が望むのはウクライナの降伏だけだ。 われわれは人生で最も困難だった千日前の2022年2月も降伏しなかった。今、誰もウクライナが降伏するとは考えていない。トランプ氏とのさらなる会談を望んでいる。近く、双方の代表者同士の会合があるだろう。 戦時中、敵を前にしてわれわれが孤立するのを心配している。それは最悪の事態だ。欧州連合(EU)もわれわれに多くのことをしてくれた。重要なのは米国だけではない。米欧がウクライナ支援のため団結することが重要だ。それを失うことはないと確信している。