ゼレンスキー氏、日本メディアに語り尽くした1時間 千日超えたウクライナ侵攻、その行方は(前編)
―ロシアはなぜ、クルスク州に北朝鮮兵を投入しているのか。戦場でどのように北朝鮮兵を利用しようとしているのか。ゼレンスキー氏はロシアが抱える事情を分析した。 「(北朝鮮)士官や兵士がロシア軍と連携し訓練を行っている。あなた方の地域にとっても不幸なことだ。現実の大規模戦争の中で訓練している。ドローンを使って戦う技術を学んでいる。 北朝鮮兵の準備が完全に整っているわけではない。到着時の戦闘能力は不明で、ロシアが彼らを慎重に扱っている事実は、まだ訓練段階にあることを示している。9月以降の敵の損失は8倍で、これはウクライナ東部とクルスク作戦によるものだ。プーチンは全戦力でわれわれを押し戻す任務を設定した。 ロシアは兵力不足だという事実もある。北朝鮮やシリアの状況を見てほしい。以前は多くのロシア部隊がいたが、今は全員がわれわれと戦っている。プーチンの兵力に関する発言は誇張されている。ロシアに世界を制御する力はない。最も強力で、最も戦闘技術のある戦力は全てウクライナで戦っているか、われわれの軍に撃破された。
ロシアは、どこかから兵士を調達する必要があり、北朝鮮から引き続き調達するだろう。彼らを「弾よけ」として使うつもりだと思うが、少し後のことになる。プーチンは彼らが訓練され、良い待遇を受けていると示すことで、さらに数万人規模の北朝鮮兵を引き付けたいのだ。最終的に弾よけに使うことは間違いない。プーチンはロシア市民が命を失いたくないという重要な事実を理解している。ロシア社会の支持を失わないようロシア人でなく北朝鮮兵を利用する。それでも不足すれば、他国に目を向けるだろう」 ▽ロシアの「同盟国」たち、戦争は拡大するのか ―ロシアは北朝鮮に加えて、無人機を供与するイランとも軍事的な連携を強めており、ウクライナは警戒している。中国は対ロシア制裁に加わらず経済関係を維持し、米欧から「間接的にロシアの侵攻を支えている」との批判が上がる。 「プーチンの目的は、ロシア社会の緊張を緩和することだ。ロシア人の死者数に対する不満が高まっているため、他国を巻き込もうとしている。そのために、より強力な軍事同盟が必要だ。イランや北朝鮮が同盟国になっている。中国も既にいくつかの点で同盟関係にあると考えている。