ゼレンスキー氏、日本メディアに語り尽くした1時間 千日超えたウクライナ侵攻、その行方は(前編)
―消耗戦で双方とも多数の兵士を失った。両国とも、自国戦力の損耗についてつまびらかにしていない。「世界は戦争の実相を知る必要がある」として、犠牲者数を聞いた。 「クルスク(への越境)作戦後、ウクライナ兵とロシア兵の死者の比率は2024年9月に1対8となった。ロシアは人命を惜しまず、2024年9月以降、人命軽視の突撃作戦で大勢を犠牲にしたが、成果がない。 『8万人のウクライナ兵が死亡した』との米国の報道があった。実際は大幅に少ない。正直に言えば一時占領された地域でどれだけのウクライナ人が亡くなったか正確な数字を把握していない。軍人、民間人、法執行機関職員らが含まれるが、何人が死亡し、失踪し、捕虜として拷問されたか分からない」 ゼレンスキー氏は国際的な支援不足が東部でのロシアの進軍を許しているとの認識を示した。強調したのは、人的犠牲を顧みないロシア軍の人海戦術のことだ。「人命を重視するウクライナ軍」との比較を強調し、8万人死亡説を示した米メディアの報道を否定したが、占領地での実際の死者数は把握できないと打ち明けた。消耗戦の厳しさが伝わってくる。インタビュー後の12月8日、ゼレンスキー氏はSNSで2022年2月以降、ウクライナ兵士4万3千人が戦死したと明らかにした。不明者を含んでいない数字とみられる。
▽北朝鮮、ロシア支援の実態 ―反転攻勢に失敗したウクライナは今年8月、突如としてロシア西部クルスク州に部隊を進め越境攻撃を開始し、一時は1300平方キロ以上の地域を制圧した。ロシアはクルスク州で北朝鮮兵1万人以上の加勢を得て、最新式中距離弾道ミサイルを「実験」と称してウクライナ東部に撃ち込んだ。 「北朝鮮兵に関しては正規兵や士官を含め、ウクライナと戦うためにロシアに到着した全ての兵士を長い間分析してきた。把握しているのは約1万2千人。死傷者の情報も得ているが、正確な統計はない。 1万2千人については証拠を持っている。北朝鮮からロシアに向かう武器を積んだ列車を目撃し、数十のロケット砲システムや数百の重機が北朝鮮からロシアに向かうのを確認している。ミサイルが命中し、子どもを含むウクライナ国民を殺した事例も確認されている。ロシアは民間インフラだけを狙っている。 ミサイルが北朝鮮で生産されたことを証明する詳細な証拠もある。何百万発の砲弾についても証拠がある。今年だけで北朝鮮からロシアに砲弾350万発が供給され、2025年にさらに数百万発が計画されていることも文書で確認している」 ▽北朝鮮兵に待ち受ける運命