「マイナス金利政策解除で企業に変化、大和証券との提携で顧客を増やし証券機能と連動させていく」…あおぞら銀行・大見秀人社長
あおぞら銀行は、大和証券グループ本社と資本業務提携を結び、金融サービスの提供を強化している。金利がある世界が到来し、顧客のニーズも変化している。大見秀人社長に戦略を聞いた。(聞き手・佐藤寛之)
「V字回復がこの1年のテーマで、順調に来ている。(赤字のきっかけとなった)米国のオフィスローンについては、引き当てた水準での回収が進んでいるが、一気に上向くかどうかは不透明なところもある。慎重に見ていく必要がある」
――提携の狙いを改めて。
「3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除した。これがきっかけとなって、日本経済、特に企業の行動が変わり、M&A(企業の合併・買収)や事業の構造転換が増えてきた。我々が得意とするストラクチャード・ファイナンス(仕組み金融)の需要が増えてくるので、大和証券との提携で顧客を増やし、証券の機能と連動させていきたい。
これまでの銀行は企業の運転資金への融資が主だったが、企業の事業構造転換の資金も必要になってきた。株式の移動を伴う場合は証券会社の方がいろいろな情報や知見を持っている。証券会社にとってみれば融資の機能があったらもっとダイナミックにできる。お互いの足りないものを補完しようということで提携に至った」
――企業行動が変わってきた背景は。
「三つの大きな要因がある。一つ目はコーポレートガバナンスコード(東京証券取引所が定めた上場企業向けの指針)。日本の企業が内向きの議論ではなくて、外に向かった議論をするように変わってきた。
二つ目は昨年の東証のPBR(株価純資産倍率)1倍に向けた提言だ。成長分野はM&Aでもっと増やそうとか、ノンコアは売却しようとか、普通に考える時代になってきた。
三つ目はアクティビスト(物言う株主)。株主総会でプロキシー・ファイト(委任状争奪戦)になったり、対話を通してきちんと説明したりしなければならなくなってきたことも背景にある」