銀座で「5500円フカヒレ定食」仕掛ける中国人女性の正体 美食ブランドを立ち上げる彼女の「夢と不安」
メインテーブルに山と盛られた、タラバ蟹、ズワイ蟹、棘ズワイ、アワビにサザエ、ハマグリ。マグロ、サーモン、ぶり、たこ、甘エビなどのお造り。焼肉用の比内地鶏、馬肉に江戸前寿司、北京ダックや海老のチリソースなどの本格中華料理からスイーツまで、メニューは150種類以上。 【写真】金華ハム、丸鶏、干し貝柱、豚骨、豚の皮などを8時間煮込んだ濃厚なスープにほぐしたフカヒレが溶け込んだ、メインの「フカヒレスープ」 高級海鮮の山も中華の皿も、300名を超える客の襲撃に切り崩されては、またたく間に補充されていく。 行列のできるブッフェダイニング「銀座八芳」の光景だ。このたび、2店舗目となる新宿店が2024年12月7日にオープンした。
■起業に踏み切った理由 この、メニュー数も規模も圧倒的な店舗の仕掛け人はFANG DREAM COMPANY(ファン ドリームカンパニー)代表取締役の孫芳(ソン ファン)氏。2013年に起業し、展開するブランドは創作中華料理の「銀座夜市」、火鍋専門店「孫二娘 潮汕牛肉火鍋」など、9ブランド13店舗を展開している。 孫氏は2002年、留学目的で来日。卒業後にメディア系の企業に就職したが、すぐに辞めて起業したという。
【写真】フカヒレ専門店 銀座七芳、5500円のフカヒレ定食、おかわり自由の小鉢10種類、100gと贅沢に使われたフカヒレ、個室など 「いま41歳ですが、すでに故郷の中国・河南省より日本でのほうが長くなりました。この前も2カ月ほど帰国しましたが、住み慣れない感じがして、すぐに日本に帰ってきました(笑)」(孫氏) 会社員時代に接待の席などで食べた中国料理の値段が高く、「質の高いものをリーズナブルに提供できれば繁盛するのでは」と考えたのが、起業に踏み切った理由だった。
「もっとも、当時20代で1万5000円から2万円ぐらいの料理。今考えれば高すぎるということはなかったかもしれません。それに当時なら中国で1万円ぐらいで食べられたでしょうが、今は物価が変わってきて、もちろん中国の都会に限ってですが、日本の方が若干安いかも」 20代前半。アイデアをとにかく試してみたいという、エネルギーを感じさせる。 親が夫婦で飲食店を経営しており、B級グルメの店を運営している親戚もいた。そんな環境で育ったため、起業して店を開くという考えには自然にたどり着いたようだ。