あばれる君 看護師として働く彼女と大学生だった自分。後輩芸人との食事では机の下からお金を渡してもらい…
総務省統計局が行った「令和2年 国勢調査」によると、「単独世帯」の割合は他世帯と比べ最も高く、2015年より14.8%も増加したそう。そのようななか、「一人暮らしのときは、家族の大切さなど考えたこともなかった」と話すのは、愛妻・ゆかちゃんと2人の息子「ちびれる君」たちと暮らすお笑い芸人・あばれる君。今回は、あばれる君の誠実でまっすぐな人柄があふれる初のエッセイ『自分は、家族なしでは生きていけません。』から、一部引用、再編集してお届けします。 【イラスト】家族で公園。ずっとずっとこの幸せが続いてほしい。毎日がありがたい。 * * * * * * * ◆自分は、芸人としてやっと動き出したのです。 厳しい看護学校を卒業したゆかちゃんが名門の病院に看護師として就職し、東京にやってきました。僕が大学3年生のときです。 しっかりと働いている彼女と大学生。これはもう、デート代や食事代など、どちらがお金を払うのかは火を見るより明らかです。 僕はいつも安心して食べました。安心して食べて食べて食べまくりました。 追加注文で重ねられた伝票をレジに持っていくとき、ゆかちゃんはそっとお金を伝票に挟んで店側にはあたかも僕がお会計をしているかのように振る舞ってくれるのでした。 僕がカッコつけたいがために「店側に僕がお会計してるようにみせたい」と頼んだからです。 ゆかちゃんは、別に疑問を挟むわけでもなく、「はいはいはい……。なるほどね……。うんうん。」と僕の意図を受け取ってくれるのでした。
◆夢のような大学生活 これは先の話ですが、ゆかちゃんと後輩芸人と一緒にご飯を食べたときは、お会計時に机の下からお金を渡してくれました。 きっと後輩からは貧乏なくせに羽振りがいいと思われていたと思います。 僕は後輩にご飯を奢っているように見せながら、ゆかちゃんに奢られていたのです。 親から家賃と仕送りをもらい、デート代はゆかちゃんに出してもらえる夢のような大学生活が永遠に続いてほしいとさえ考えたこともあります。
【関連記事】
- 息子の面倒を弟の妻に見てもらいながら<女性法曹のパイオニア>として飛躍した『虎に翼』モデル・嘉子。ただし特段「女性の問題」に熱心だったわけではなく…
- 青木さやか 娘が出かけた後、毎朝わたしはゲンナリする。「部屋、片付けなさいよ」「うん、今日やる!」繰り返されるやりとり【編集部セレクション】
- 銀行で学費を振り込もうとしたら詐欺被害に遭っていると疑われ…77歳の芸人「おばあちゃん」NSC入学までのてんやわんや
- 71歳で養成所に入学した芸人・おばあちゃん。「女性に対しておばあちゃんは失礼」と講師が言う中でこの芸名に決まった理由とは
- 哲夫(笑い飯) 仏教マニア、塾経営者、農家、花火解説者…お笑い以外の仕事を考えたことがない自分が<六足のわらじ>を履くようになったワケ