親から「30万円」で外車を譲り受けました。この程度であれば「贈与」とみなされ税金がかかることはないですよね?
親が使用していた車を譲り受ける際、本来の価格よりも安い金額を支払って受け取る場合があります。無料で受け取ってはいないため贈与にならないと考える方もいますが、支払った金額によっては課税対象になるケースもあるため確認が必要です。 今回は、低価格で外車(輸入車)を受け取った場合に課税対象となるケースや、課税された場合の税額などについてご紹介します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
お金を払っていても場合によっては贈与税の課税対象となる
高級外車を低価格で譲り受けると、贈与のつもりでなかったものでも、状況によっては贈与と判断されるケースがあります。「みなし贈与」と呼ばれ、あとから贈与税の申告漏れとして指摘される可能性もあるため、注意が必要です。 相続税法第9条によると、対価を支払わなかったり、著しく低い価額の対価で利益を得たりした場合は、その利益額が贈与により取得したとみなされると定められています。 お互いに贈与のつもりがなくとも、本来の価格に対して明らかに低い価格で譲り受けると、「みなし贈与」として贈与税の課税対象になる可能性があります。その場合、財産の時価と支払った価格の差額が贈与された金額として判断されます。 なお、みなし贈与として課税される明確な基準はありません。国税庁によると、著しく低い価格で受け取っているかは「個々の具体的事案に基づき判定する」とされています。そのため、本来の価格よりも明らかに低い価格で譲り受けたときは、贈与税の課税対象にならないか税務署や専門家に相談しましょう。 課税対象と知らないまま放置していると、定められた税額のほかに延滞税など追加で税金が課される可能性もあります。
もし贈与税が課税されるといくらになる?
贈与された中古車の評価額は、基本的に買い取り業者の査定額や中古車の買い取り価格を基に判断されます。 今回は、譲り受けた車の評価額は中古車販売会社の査定額を参考にしたものとして、贈与税額を計算しましょう。 ●譲り受けたのは500万円相当の外車 ●親へ支払った金額は30万円 ●同じ年にほかの贈与は受けていない もしみなし贈与と判断された場合、本来の価格との差額470万円が贈与されたと判断されます。贈与税は年間110万円の基礎控除があるため、課税対象は360万円です。 贈与税は受贈者の年齢や、誰から受け取った財産かによって税率が異なります。国税庁によると、成人した子どもが親から贈与された場合、課税金額が360万円のときの税率は15%、控除額は10万円となるため、贈与税額は44万円です。 ■相続税対策のつもりが、相続税より高くなるケースも 相続税対策として、わざと相続予定の財産を低価格で譲るケースもありますが、みなし贈与と判断された場合に相続税額よりも税額が高くなる場合があります。先述したケースだと、贈与と判断された470万円に対して44万円の税金が発生しました。 一方、相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」です。最低でも3600万円以上の財産がなければ、相続税は課されません。今回のケースでは500万円相当の外車なので、ほかに3100万円以上の相続財産がなければ、課税対象外です。 みなし贈与と判断されるよりも、親が亡くなったあとに相続財産として扱ったほうが非課税になるケースもあるため、相続税対策として低価格で譲り受ける場合はよく考えたほうがよいでしょう。