2025年はロシア経済にとって苦難の年になる…複数のエコノミストが予測(海外)
2025年、ロシア経済は大きな圧力を受けるだろうとエコノミストたちはBusiness Insiderに語っている。 高インフレ、経済成長の鈍化、エネルギー価格、経済制裁はロシアの軍事力に悪影響を与える可能性がある。 ある専門家は、この成長の鈍化は1980年代初頭のソ連に似ているとBusiness Insiderに語っている。 2025年はロシア経済にとって苦難の年になる可能性が高い。 2022年2月にウクライナへの本格的な侵攻を開始して以来、ロシアは戦争を優先するために経済を再構築し、輸出禁止の措置を課し、政府系ファンド、ナショナル・ウェルス・ファンド(National Wealth Fund)を活用して、非西側諸国との貿易を強化してきた。 しかし前例のない防衛費の支出、労働力不足、そして西側諸国による制裁は代償を伴うもので、国家としての能力の限界に達しつつあると考える者もいる。 ロシア経済が崩壊することはないとエコノミストたちは予測するものの、ウクライナでの戦闘を続ける場合には、2025年は厳しい年になるだろうとBusiness Insiderに話している。
インフレの継続
「ロシアはその経済を内側からむしばむプロセスを開始した」と、オハイオ州にあるケース・ウェスタン・リザーブ大学のビジネススクールであるウェザーヘッド・スクール・オブ・マネジメント(Weatherhead School of Management)の経済学准教授、ロマン・シェレメタ(Roman Sheremeta)はBusiness Insiderに話している。 彼によると、戦争が続いた場合、「すでに疲弊しているロシアの予算に大きな負担をかけることになる」という。 ロシアはウクライナとの戦争を続けるために防衛費を増加させており、2022年の590億ドル(当時の約7兆6700億円)から、2023年には1090億ドル(当時の約14兆7150億円)、2025年には1268億ドル(約19兆9500億円)を計上する計画だ。これによって同国の防衛費は連邦予算の32.5%を占め、2024年の28.3%から増加することとなる。 近年急増する防衛費は、ロシア経済を支えてきた一方で、インフレの上昇にもつながっており、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、2025年にはインフレ率が9.5%に達する可能性があると述べている。 これを抑制するため、同国の中央銀行は2024年10月に主要金利を19%から21%に引き上げ、過去最高のものとなった。この金利の引き上げは、企業の利益率に影響を与えている。 ロシアの中央銀行は2024年12月にも金利を再度引き上げると予想されていたが、実際には見送られている。ただし、2025年には金利を引き上げる必要が出てくるかもしれない。 「主な問題は、インフレがどれほど高くなるか、そしてその鈍化がどのように現れるかである」と、金融アナリストであり、欧州政策分析センター(Center for European Policy Analysis)の非常勤上級研究員、アレクサンドル・コリアンドル(Alexander Kolyandr)はBusiness Insiderに話している。 プーチン大統領は、インフレが「比較的高い水準にある」と認めている。2024年12月初め、モスクワで開かれた投資フォーラムで、彼は政府と中央銀行に対してインフレの抑制を促している。 ロシアのシンクタンクであるTsMAKPは、ロシアがインフレを抑制できないことが、低成長かつ高インフレの「スタグフレーション」へと国を追い込んでいると2024年11月に警告している。「スタグフレーション」は景気後退よりも脱却が難しいシナリオだ。 「全体的な傾向は非常に厳しい」とコリヤンドルは話している。 「1980年代初頭のソビエト連邦のように、経済全体が停滞している状態だと言える」 ソビエト連邦は1991年に崩壊している。