農産物よ、おまえもか―。野菜にも及び始めた値上げの波 価格高騰は勘弁、でも農家廃業も避けたいジレンマに消費者104人が出した答えは
最多の回答は「政府が補助金を出す」で51人、次いで「販売する食品を値上げする」が25人だった。補助金で農家の生計を支えることができれば、値上がり幅を抑えられる可能性もありそうだ。 ▽政府の方針は価格転嫁促進による局面打開 小麦粉や食用油といった、少数の大手メーカーが足並みをそろえて値上げを繰り返してきた加工食品に比べると、大小さまざまの農家が出荷している生鮮食品は価格引き上げを打ち出しにくい。このままでは高まる生産コストがのしかかり、農家は事業を継続できない危機にひんする。 だが政府は、消費者が求める補助金ではなく、価格転嫁の促進によって局面を打開したい方針だ。 農水省は農業団体や消費者団体の関係者を集め、適正な価格形成の仕組みをつくる議論を進めている。離農や後継者不足に悩む現状を脱却し持続可能な農業を目指して、生産と流通の段階で、資材費や燃料費、人件費の上昇分を価格に反映する方法を探っている。
今回実施したアンケートでは、この議論について知っている人は36人だった。 農水省の農業物価指数によると、2020年を100と置いたとき、今年4月の総合的な農産物価格指数は112・4だった。4年間で1割強上がった計算だ。 一方、農家にとっての費用に当たる総合的な農業生産資材価格指数は120・2に達し、約2割上昇した。 ▽農産物値上がりならば見直しが6割 仮に農産物が値上がりしたらどうするのかとの質問には、同じ農産物または似た品目でより安い商品に切り替えるとの回答が43人、量や購入頻度を減らすとしたのが18人で、さらに「買わない」と答えた2人を合わせると全体の6割に達した。 一方、「同じものを購入する」と答えたのは39人だった。 ▽30%超の値上げ容認は8人だけ 受け入れられる値上げ率を尋ねたところ、「10%以内」が47人で、「受け入れられない」も7人いた。 これに対し、「30%超」の値上げでも容認するとの回答は8人にとどまった。日常的に買う食品だけに、価格動向にはとりわけ敏感だ。