心臓に不安を抱えながら… 元賞金王・小田孔明は18年ぶり最終予選会へ
◇国内男子◇カシオワールドオープン 2日目(22日)◇Kochi黒潮CC(高知)◇7350yd(パー72)◇晴れ(観衆1927人) 【画像】ルーキー政田夢乃、スイングを語る 自覚症状のない心配は春先に芽生えていた。シーズン初頭、小田孔明は受診した健康診断で心臓に異変が見つかった。全身から戻ってくる静脈血が流れこむ右心房が正しく機能しないという。医師からは「夏場など、心臓に負担がかかるときにゴルフはしないでください。息切れがしたらすぐにやめてください」と通告され、不安を抱えたまま1年間を戦った。 2007年から保持していた賞金シードを昨年末に喪失し、「生涯獲得賞金上位25位」の資格で参戦した今季は5月「ミズノオープン」の25位が最高位。19試合目の今大会で12回目の予選落ち(棄権1回)を喫して賞金ランクを98位から動かせず、シード復帰となる65位のボーダーラインは最後まで遠かった。 「ことしの後半くらいからずっと開き直って、良い感じをずっとつかみたいと思いながらも、なかなか思うようにいかなかった。“カシオ”くらい、良いスコアで回りたかったですけど…仕方がない」。2008年にツアー初優勝、09年に連覇、そして14年に賞金王戴冠を決めたのもこの「カシオワールドオープン」だった。
「最後に頑張りたかったけれど、一年を通じてこういう(悪い)ゴルフをしていれば、いきなり良くなったりはしない」。思い出がいっぱいに詰まったKochi黒潮カントリークラブで、46歳はキャリアの節目を迎えた。 12月3日(火)から始まる最終予選会(ファイナルQT/山口・下関ゴールデンGC)に18年ぶりに挑戦する。来季の限定的な出場権の獲得を狙う一方で、「賞金王を獲ってからのここ10年は、なんか自分でも“抜けた”ような感じだったと思う」と振り返る。結局15年以降はタイトルに恵まれなかった。「谷口徹さん、藤田寛之さんなんかが頑張っている姿を見て、『自分の方が若いのに』と思いながら、思う通りのゴルフができなかった」のが悔しい。 「でも、ゴルフ界にとっては良いことだと思うんですよね。若い選手がどんどん出てきた」とも思う。近年はジャパンゴルフツアー選手会の理事、副会長も務めて、組織を引っ張ってきた。「これからは自分にできることを、(後人に)スポンサーを集めて試合を増やしてあげたり、そういうことにも力を入れようかなと思う。やっぱり自分が働いてきたところなので、(恩を)返せればと思います」。下部ツアー参戦や、近い将来のシニア入りも視野に入れながら、あらゆる形でツアーに関わっていく。(高知県芸西村/桂川洋一)