大学ラグビーで「東高西低」を打ち破る天理大旋風!帝京大のV10を阻止し決勝進出果たす
ラグビーの大学選手権の準決勝が1月2日、東京・秩父宮ラグビー場で行われ、天理大が帝京大に29-7で勝利。帝京大の連覇を9で止め、8季ぶり2度目の決勝進出を果たした。 加盟する関西大学Aリーグでは今季、3年連続10度目の優勝を決めていた天理大。象徴的なシーンは、後半6分以降に作った。 まずは12-7と5点リードのなか、帝京大の連続攻撃と向き合う。敵陣10メートル線付近左で迎えた23フェーズ目の接点で、ナンバーエイトのファウルア・マキシのジャッカル(接点の球に絡むプレー)、フランカーの佐藤慶、スクラムハーフの藤原忍ら複数人でのチョークタックル(ランナーを掴み上げる防御)を仕掛ける。 ここで自軍スクラムを得ると、全てが身長170センチ台という最前列3名が身長180センチ台の帝京大プロップ(最前列の両端)の姿勢を崩して時計回りの方向へプッシュ。反則を誘う。 その流れでゴール前まで進むと、ラックを連取したのちに皆で束になってモールを押す。結局、アウトサイドセンターのシオサイア・フィフィタのトライなどで19-7と点差を広げた。 黒の天理大は、赤の帝京大よりも、メンバーの平均身長で約4.3センチ、平均体重で約5.2キロも下回るが、スクラム、防御で圧力をかけ続けた。相手より身体が小さくても、肉弾戦で引けをとらなかったのだ。フッカーの島根一磨主将は言った。 「ディフェンスでも(危険なエリアを埋めるべく後ろへ)帰って、(タックルした後は)何回も起き上がって…。それを前、後半に渡ってできたことが勝因です。自信を持っているスクラムでもプレッシャーをかけられた」 クラブは1995年就任の小松節夫監督のもと、テンポのよい攻めを理詰めで落とし込んできた。2011年度の選手権決勝では、後に日本代表入りするスタンドオフの立川理道主将らが何度も防御の裏にパスを通した。3連覇を決める帝京大に、12―15と迫った。 さらなる飛躍のために取り組んだのが、この日に光ったフィジカルとスクラムの強化だった。 小松監督は2012年にクラブのウェイトトレーニングルームを拡張。6年前にできた選手寮にもトレーニング器具を導入した。卒業生である山下大輔S&Cコーチの後押しも受け、選手の身体作りへの意識を高めていった。今度の帝京大戦では、両フランカーの佐藤、岡山仙治はどちらも身長167センチと小柄だが、帝京大の大きなランナーに力強く刺さり続けていた。 スクラムの質向上のためには、もともと指導にあたっていた岡田明久コーチが練習時間を伸ばした。 天理高で小松監督と同級生だった岡田コーチは、「数を組まな、強うなりませんから」。提唱するのは、低い姿勢で小さくまとまって組むスタイルだ。2列目の選手の膝は、地上1センチの位置にキープ。隣同士の間隔は極端に詰める…。各選手が定められたタスクを遂行することで、まさに「小よく大を制す」の押し込みができる。