自民裏金問題で「もはや遠い昔」 ウクライナ電撃訪問、日銀総裁交代、G7広島サミット… 岸田首相の「激動の2023年」を振り返ってみた
「今年はいろいろあったけれど、『裏金』が炎上する前の出来事が、もはや遠い昔のようですよ」。年の瀬のある日、東京・永田町で会った自民党関係者が苦笑しながら口にした。「裏金」とはもちろん、自民党安倍派などの裏金問題のことだ。東京地検特捜部が派閥事務所へ家宅捜索に入るなど、異例の展開が続いている。 【写真】メガネを持つ岸田首相 「増税クソメガネ」に苦笑
2023年最大の政治ニュースは裏金問題と言っていいだろう。とはいえ、自民党関係者の言葉通り2023年は他にもさまざまな出来事があった。岸田文雄首相のウクライナ電撃訪問、こども家庭庁の発足、日銀総裁の交代、岸田首相の地元・広島での先進7カ国首脳会議(G7サミット)開催―。内政、外交とも節目やイベントが相次いだ一年でもあったのだ。 そこで、2023年の主な政治関連の動きを振り返ってみたい。激動の一年だったが、政権への国民の評価が上向いていた時期もある。遠い昔のように感じるかもしれないが。(共同通信=中田良太) ▽1~3月:岸田首相がウクライナを電撃訪問。首相秘書官が差別発言で更迭も 「覚悟を持って先送りできない問題への挑戦を続ける」。岸田首相は、1月4日、年頭記者会見で、こう抱負を述べた。2022年は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題や物価高などによる内閣支持率低迷の中で終えており、巻き返しの一年が始まった。
最初の大きな仕事は欧米歴訪だった。フランス、イギリスなどを訪問後、アメリカで1月13日(現地時間)にバイデン大統領と会談。経済安全保障における連携などを確認した。 2月には首相周辺による不祥事が批判の的となった。秘書官の荒井勝喜氏が3日、LGBTなど性的少数者や同性婚を巡って記者団に「見るのも嫌だ」などと差別発言をしたのだ。首相は4日、「言語道断だ」と荒井氏を秘書官から更迭した。 また、2月は原発を巡り大きな動きがあった。政府は10日、次世代型原発への建て替えや運転期間60年超への延長を盛り込んだ、脱炭素化に向けた基本方針を閣議決定。原発の依存度低減を掲げてきたエネルギー政策の方針を転換した。 3月は外交で重要なニュースが続いた。日韓関係悪化の一因となってきた元徴用工訴訟問題を巡り、韓国の尹錫悦政権が6日、「解決策」を発表。16日に東京で日韓首脳会談が行われ、両首脳は関係正常化で合意した。