自民裏金問題で「もはや遠い昔」 ウクライナ電撃訪問、日銀総裁交代、G7広島サミット… 岸田首相の「激動の2023年」を振り返ってみた
一部報道機関が5月下旬に実施した世論調査では、サミット直後にもかかわらず支持率が下落した。6月1日に翔太郎氏は秘書官を交代となった。 ▽7~9月:処理水放出に中国反発。「不発」に終わった内閣改造 8月24日、東京電力は福島第1原発の廃炉を巡り、処理水の海洋放出に踏み切った。処理水は放射性物質で汚染された水を多核種除去設備(ALPS)で浄化したものだ。岸田首相は風評対策に全力を挙げる姿勢を示したが、漁業者は影響を懸念。中国も放出方針に反発し、7月の日中外相会談などでけん制した。放出後、日本産水産物の輸入を全面的に停止した。 9月13日、首相は内閣改造と党役員人事を実施した。発足した第2次岸田再改造内閣には、歴代最多タイとなる女性5人が入閣。改造後の記者会見で首相は「強固な実行力を持った閣僚を起用することとした」と人心一新をアピールした。だが内実は派閥への配慮がにじむ布陣で、国民の支持拡大は「不発」に終わった。共同通信の9月13、14両日の世論調査で内閣支持率は上昇こそしたものの、39・8%にとどまった。
さらに15日の副大臣・政務官人事で、女性起用がゼロとなり、野党から批判が相次いだ。10月の山田太郎文部科学政務官の交代や、12月の裏金問題を受けた人事により、副大臣、政務官とも女性ゼロは解消した。 ▽10~12月:裏金問題で激震。支持率は政権発足後で最低に 10月20日に臨時国会が召集されると、岸田政権は序盤から不祥事に悩まされた。10月26日、女性問題で山田太郎文部科学政務官が辞任。31日には、公選法違反事件に関与した疑惑により柿沢未途法務副大臣が辞任した。柿沢氏は12月28日、東京地検特捜部に公選法違反(買収など)の疑いで逮捕された。過去の税金滞納が報じられた神田憲次財務副大臣も11月13日、事実上の更迭となった。 岸田内閣は11月2日、所得税・住民税を計4万円減税し、低所得世帯へ7万円の給付を行う経済対策を閣議決定した。防衛費増額のための増税が控える中での減税判断には、交流サイト(SNS)上で岸田首相を「増税メガネ」とやゆすることをはじめとした「増税批判」を払拭する狙いがあったと指摘されている。