インドPE市場、ブラックストーンやKKRが積極投資-20年前と一変
しかし、ウォーバーグ・ピンカスが早い時期に一定の成功を収めたにもかかわらず、政府の規制が残っていたため、外国人が株式過半数を取得することは難しく、企業の意思決定に対する影響力が限られていた。また、PEになじみのないインドの起業家は、PE企業に株式を売却することに消極的だった。
時がたつにつれ、資金が潤沢なPE会社は新規株式公開(IPO)で利益を上げられることを証明した。KKRのアジアPE責任者、ガウラブ・トレハン氏は「成功事例が増えるにつれて、インドでは創業者がいなくても会社を経営できるという考えが浸透していった」と言う。
PE各社はここ数年、ムンバイでスタッフを増やし、経済全体のセクターに資金を提供している。KKRは眼鏡メーカーのレンズカートと学校運営のライトハウス・ラーニング・グループに投資しており、道路や再生可能エネルギー、伝統的な発電に約30億ドル(約4800億円)を投じている。
カーライル・グループは、減量ソリューションに取り組むVLCCに出資。スウェーデンのEQTは、不妊治療クリニックチェーンのインディラIVFと連携している。ブラックストーンは80社以上に出資し、インド最大の商業地主となっている。
PE投資を始めるインド勢も増えているが、世界的な大手企業との競争に苦しんでいる。大手各社は他市場での経験やアクセスを生かし、投資先企業を国外に進出させ、経営資源で成功を後押ししている。
ベインによると、インドではトップクラスのファンドによるPE投資の4分の3は国際企業が占める。
レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャルのPEアドバイザリーグループでグローバル責任者を務めるスナイナ・シンハ氏は、「インドは持てる者と持たざる者が歩む二車線のPE市場だ。インドはグローバルファンドに牛耳られている」と指摘する。
規制緩和
インドで認知度を高めた外国勢は、外資を長年警戒してきた規制環境の緩和を求めている。事情に詳しい関係者によれば、モディ首相がブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)と数年前に面会した際、上場企業の非公開化に関するインドの厳しい法規制が取り上げられた。