「医師は高収入」と聞きますが、風邪で診察してもらっても支払いは「1200円」程度です。なぜ平均年収が「1000万円」を超えられるのでしょうか?
風邪をひいたときに病院で支払う金額は、保険証の有無や年齢などによって異なりますが、おおむね1200円程度という人も多いのではないでしょうか。医師は高収入というイメージが定着していますが、このくらいの診療費で本当に高収入を得ているのか、疑問に感じるかもしれません。 本記事では、医師の収入や病院の収入のしくみについて、解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
医師の年収はどれくらい?
医師の年収は、専門分野や勤務先などによって差がありますが、厚生労働省が実施した、令和5年賃金構造基本統計調査によると、平均年収は約1436万円です。 国税庁の調査によると、日本全体の民間の給与所得者の平均年収は約460万円となっています。また、年収が1000万円を超える人は全体の5%程度しかいません。つまり、医師の年収は平均の3倍以上であり、医師は収入面で特に恵まれた職業であることが分かります。
開業医のほうが高収入?
勤務医と開業医では、開業医のほうが報酬は高いイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。厚生労働省が公表している情報には、開業医の収入は勤務医の1.8倍というデータがあります。 しかし、開業医の場合は、開業のために借り入れた資金や医療機器の購入、設備投資など、多くの費用を負担しなければなりません。そのため、収入が多く見えても、実際には経営費用を差し引いた後の手取りが勤務医より多いとは限らないのです。
医療費のカラクリ
私たちが病院で支払う金額の多くは保険によって補填(ほてん)されています。例えば、3割負担の人が風邪で内科を受診し、窓口で1200円を支払った場合、実際の医療費は4000円です。 このうち、残りの2800円は医療機関が「審査支払機関」に請求し、そこから支払いを受けています。つまり、医師や病院が受け取る収入の大部分は、診療報酬という形で国から支払われているのです。 診療報酬は、診療内容ごとに細かく点数が設定されており、1点10円で計算されます。例えば、初診料は291点に設定されているため、2910円が医療費として計算されます。 また、検査や処置を多く行うほど点数が加算されるため、風邪などの簡単な診察よりも医療費は高くなります。さらに、入院設備を備えた大きな病院では、医療費が多くかかる分、病院側の収入も大きくなるでしょう。