任天堂が「異端の経営者」を抜擢した納得の理由 日本企業と北米企業との「文化のミスマッチ」
連動して1つのものを作り上げる時は、トップさえ盤石で、すごいものを見ていれば、周囲の人たちが、コミュニケーションミスもなく、きれいに作り上げることができます。 100人~200人の大規模な開発をするのは苦手ですが、20人~50人ぐらいの機動性の保てる規模で、ちょっと見たことのないものを作るという時には、日本人は抜群に優れているのです。 ■日本的な「すり合わせ型」 モバイルゲームは、2010年代の前半頃までは、モジュラー型で作られていました。人がどんどん入れ替わり、「ガンダム」で成功したゲームエンジンを、そのまま「ワンピース」に持っていく。マーケターなど、ビジネス畑の人が外から入って、サイクルを回していた時代でもあります。
ところが、これはゲーム作りには向いていないやり方でした。いま、DeNAもGREEも調子が振るわない理由は、ゼロイチで「面白いゲームって何なのか?」という所を作り上げられない点にあると思います。 日本的な「すり合わせ型」なら、エンジニアならこの人、サーバーならこの人というように、ずっと一緒に同じ釜の飯でやってきたようなチームで、アーティーでありながら他とはちょっと違うゲームを作ることができます。 実は、任天堂のポイントも、海外では作らせていないというところにあるのです。
後半(7月2日配信予定)へ続く (構成:泉美木蘭)
中山 淳雄 :エンタメ社会学者、Re entertainment代表取締役