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戦後最悪の噴火災害・御嶽山噴火から9月27日で10年。夫を亡くした長野県安曇野市の女性は最愛の人を感じようと様々な場所へ出かけ、何度も山にも登った。この夏には動画の中の夫と10年越しの「再会」。夫の姿を追い求めた10年を振り返る。 【画像】10年越しの「再開」　偶然見つかった動画の中の夫 （※外部配信先では動画を閲覧できない場合があります。その際はFNNプライムオンライン内でお読みください）

若々しい遺影の中の夫　

仏壇に手を合わせる安曇野市の野口弘美さん（66）。 夫の泉水さんは59歳で亡くなった。 野口弘美さん: 「泉水さんは全然変わらないんで。昔は私より年上だったのに若いなって。思い出に浸ってる10年だったような気がします。気が付いてみたら『浦島太郎』で、おばあちゃんになってました、みたいな。そんな感じ」 いつまでも若々しい遺影の中の夫。 あれから10年の月日が流れた。

奇跡的に残った夫の最後の姿

出かける時はいつも2人。しかし、その日、弘美さんは仕事の都合で行けなかった。 泉水さんは単独で登った御嶽山で噴火に遭遇、亡くなった。 弘美さんの元に戻ってきた泉水さんのカメラ。調べると奇跡的にデータは無事だった。 写っていたのは夫の最後の姿と… 迫り来る噴煙の様子。 泉水さんが噴火時、山頂にいたことがわかった。 野口弘美さん（2014年当時）: 「こんなところなんて撮ってないで、逃げればいいのにって思いました。私も10年くらいして、もし歩けたら、（御嶽山に）行って、石積んでこようと思って。どこまで登れるかわからないけど、行けるところで積んでこようかなと思って」

5年かかって「最後の場所」へ　

夫が見た景色を見たい。 その後、弘美さんは御嶽山に何度も登った。ただ山頂部は登山規制が続き、泉水さんが亡くなった場所に辿り着くまでには5年を要した。 野口弘美さん（2019年時）: 「やっと来た。写真を撮ったところを探そうか」 「『9時59分（発見）、おんたけ神社前頭西向き』って書いてあるから、どこに倒れてたのかなと思って」 山頂に着いた弘美さん。写真に残された発見時のメモを手がかりに、夫の「最後の場所」を探した。 野口弘美さん: 「こう?」 山頂でうつ伏せになる弘美さん。逃げ込もうとしていたのか、泉水さんは祈祷所に向かって倒れていたことが、この日になって初めてわかった。 その後、泉水さんが好きだったロックの曲をかけながら、ビールで供養。 そして、天国に向かってシャボン玉を吹いた。 野口弘美さん: 「みんなに届くかな。生き残った人（遺族）たちは友達になったけど、泉水さんも友達になれたかな。悲しいけど目をつぶってそのまま過ごすわけにいかない。現実を受け止めて、ちゃんと供養してあげて、いつまでも私の心の中にいてくれるように願って。また明日、頑張って生きていく糧にしたい」