AED「いち早く届ける」アプリ 救急隊より先に到着したら…「自分がやるしかない、使おう」
「自分がやるしかない」手が震えて…
現場のガソリンスタンド前の歩道に倒れていたのは男性でした。 数人が集まっていて、頭から血を流している男性を、救助しようとした女性が後ろから抱えているのが見えました。 意識はなく、呼吸があるかどうかも判断がつかず、「自分がやるしかない、とにかくAEDを使おう」と思ったという北島さん。 「でも、これまでの人生で一番、手が震えていて。AEDを開けるのが苦労しました」
電気ショック、必要かどうかはAEDが判断
電気ショックが必要な状態かどうかはAEDが判断してくれるため、「とにかくAEDのパッドを貼る」ことが大事です。もし心停止の状況であれば、1、2分が命に関わります。 北島さんの場合、パッドを貼って少し待ったところ、「電気ショックは必要ありません」とアナウンスが流れました。 それとほぼ同時に、救急車のサイレンが近づいてくる音が聞こえたといいます。どうやら一時的に気を失っている状態だったようです。 「あぁ、とりあえずこの方は大丈夫、とホッとして、救急隊に引き継げるということも安心しました」
1分遅れるごとに、救命率が10%ずつ低下
総務省消防庁によると、救急車の到着までの時間は長くなってきており、2022年は全国平均10.3分です。 一方で、心臓が突然止まってしまった場合、電気ショックが1分遅れるごとに救命率は約10%ずつ低下してしまいます。周囲にいる人ができるだけ早く駆けつけて、AEDを使ったり、心肺蘇生法(心臓マッサージ)をしたりすることが、救命や後遺症の有無のカギを握るのです。 2023年に、柏市内で発生した心肺停止478件のうち、市民が心肺停止の人を目撃したのは190件ありました。そのうち、市民によってAEDが使われたのは14件でした。 北島さんは「救命に関わるのは『怖い』とおっしゃる方もいるのは分かります。でも私の場合は身体が反射的に動いた感じで、メリットとかデメリットとか考える余裕はなかったですね。通知に応じないという『やらない後悔』の方が強く感じてしまいそうでした」と話します。