ヤバい「巫女養成スクール」生徒を酒席の“接待要員”としてタダで動員。セクハラ被害も
酔客の乱入などトラブルも
「運営している神社は神社庁(※)に所属していませんので、とにかく自由。所属していない神社のすべてがそうだとは決して言いませんが、少なくともこのスクールは、やりたい放題である印象です。 祭りでは祝詞(のりと)をあげて盛り上がったタイミングで、さて喉(のど)も乾いたし~とお酒を飲む流れになります。巫女さん風の女性たちに囲まれて、お酒をたっぷり召し上がり、すっかり出来上がった酔客が、同じ建物で開催されている巫女スクールへ乱入するなどのトラブルも発生しています」 <※神社庁:神社本庁の地方機関として、各都道府県に設置されている。神社庁の管理指導を行うのが、神社本庁。伊勢の神宮を本宗とあおぐ全国約80,000社の神社を包括する団体である。有名な神社(伏見稲荷大社、日光東照宮、靖国神社など)も、神社庁に所属しておらず、神社本庁以外にも神社神道系の包括宗教法人があるので、どれが「正当」ということはない。> 神前に供えたものを参列者の皆でいただく「直会(なおらい)」は、祭りの一部であるものの、度を超えた飲酒光景はまるで「大学のイベントサークルの飲み会のよう」と、絹江さんは話す。
搾取されセクハラに遭う生徒たち
さらに驚いたことには巫女スクールの女性たちが、さまざなイベントへ派遣され、そこで無償の“酒の接待要員”として扱われているという。そこでも酔客からセクハラをされるなどのトラブルが報告されている。 2020年頃、X(旧Twitter)で「神社の中に隠し扉があり、銀座の高級クラブにつながっており、巫女さんたちがドレスに着替えて接待してくれる」なる投稿がツッコミも交えてプチバズっていたが、まるでそれを再現したかのような話である。 「運営が異業種交流会で引っ張ってきた経営者を集め、巫女スクールの生徒たちに接待させるんですよね。 生徒たちはもともとスピリチュアル系の本業を持っていて、特色を出そうと巫女養成スクールに入ってくるような中年女性も少なくありません。だから『社長と名刺交換できる』『仕事の相談ができる』と誘われると、喜んで参加しているような人もいます。 しかし当然、そうでない生徒もいるんです」 とある20代の女性は、絹江さんにこう報告してきた。 「終電を逃す時間まで接待させられて、ふり切るようにタクシーで逃げ帰ってきたんです!」 あいまいな説明で接待させるスクールは言語道断であるが、巫女装束の素人に酒の相手をさせて喜んでいる経営者らがいるという点も、呆れた話である。当然ながらこのタクシー代も、自腹になっている。「やりがい搾取(さくしゅ)」という言葉も、頭に浮かぶ。 筆者も現場の写真を拝見したが、「違法なコンカフェのようだ」という絹江さんの表現がドンピシャだった。薄暗い会員制ラウンジのようなフロアで、巫女装束の女性が接客している。 隣に座って一緒に酒を飲むと風営法に引っかかる気がするが、主催者は、巫女たちもあくまで店の利用客であり「ただの飲み会」だ、と主張するのだろう。接待はスクールの必修や強制ではないが、同調圧力で行かざるを得ない場合もある。