「出世前」の若手選手の「球宴」、フレッシュオールスターゲーム
今年のフレッシュオールスター戦
フレッシュオールスターゲームは、2009年以降、地方球場で行われている。プロ野球の本拠地球場がない地方の野球ファンにとって、ファーム中心の選手とは言え、プロ野球選手に身近に接する貴重な機会となる。 ただ、フレッシュオールスターゲームは、満員札止めになることはほとんどなかった。多くの試合で1万人前後であり、観客席はやや寂しいことが多かった。 しかし2024年7月20日に、姫路市のウインク球場で行われた今年のフレッシュオールスターゲームは、前売り券が早々に売り切れ、観客席は立ち見の出る超満員となっていた(観客数は11,080人)。客席数の少ない小さな球場ではあったが、満員の観客が見守る中での試合は、選手にとっても大いに励みになったのではないか。 なお、フレッシュオールスターゲームは、通常、オールスター戦の前後に行われるが、今季は、まだ一軍のペナントレースの前半戦最終週が行われている7月20日に行われた。 このために、出場辞退が相次いだ。 ・イースタン・リーグ選抜 <辞退選手> 中島大輔(楽天)チーム事情のため 滝沢夏央(西武)チーム事情のため 石田裕太郎(DeNA)チーム事情のため 井上絢登(DeNA)チーム事情のため 細野晴希(日本ハム)左肩上腕二頭筋長頭腱炎、左肩甲帯機能不全のため 上田希由翔(ロッテ)右ハムストリング肉離れのため <代替選手> 前田銀治(楽天) 金子功児(西武) 吉野光樹(DeNA) 石上泰輝(DeNA) 松浦慶斗(日本ハム) 松石信八(ロッテ) ・ウエスタン・リーグ選抜 <辞退選手> 吉田賢吾(ソフトバンク)チーム事情のため 佐藤一磨(オリックス)チーム事情のため 杉沢龍(オリックス)チーム事情のため 河野佳(広島)チーム事情のため 野口恭佑(阪神)チーム事情のため <代替選手> 広瀬隆太(ソフトバンク) 川瀬堅斗(オリックス) 茶野篤政(オリックス) 杉田健(広島) 福島圭音(阪神) 「チーム事情」とは、ほとんどが「一軍の試合に出場するため」だった。事実、7月20日、21日に行われた一軍の公式戦には、フレッシュオールスターゲームを出場辞退した選手の多くが出場していた。 オールスターゲームは故障など理由がないままに出場を辞退するとペナルティが課せられるが、フレッシュオールスターゲームにはそうしたペナルティはない。 選手にしても「二軍のオールスター戦よりも、一軍の公式戦に出たい」と思う選手が多い。 また急遽、出場が決まった代替選手の多くは一軍出場経験があるだけに、複雑な心境だろう。 今年は2安打4打点の活躍をした橋本星哉(ヤクルト)がMVPを獲得した。 今年の開催はイレギュラーだったと思われるが、フレッシュオールスターゲームは、やはり一軍の公式戦と重ならない日程で行うべきだろう。