日銀・黒田総裁会見4月27日(全文2)企業の資金繰りはリーマン時より厳しい
企業の資金繰りはリーマン時より厳しいとの認識か
読売新聞:読売新聞の【***00:31:15】と申します。2点お願いします。1点目は、まず企業の資金繰りについてなんですけれども、今回、支援策を拡充したわけですけども、現状の企業、大企業、中小企業の資金繰りの現状というのは相当、過去のリーマンのときと比べて厳しくなってきてるというご認識でしょうかというのが1点です。 もう1点目は、新型コロナウイルスの感染が拡大する前までは、日銀は追加緩和の危機感として、マイナス金利の引き下げを選択肢として挙げていましたけれども、現状、こういう環境ではマイナス金利の引き下げというのは、かなり選択肢からなくなったというふうにお考えでしょうか。以上2点、お願いします。 黒田:今回の経済危機というのは、リーマンのときとだいぶ違ってまして、ご承知のようにリーマンの場合は米国でまず、いわば金融バブルのようなものがはじけて、そして米国の金融システムが非常に大きなダメージを受けて、それが金融チャンネルを通じて他国に波及して、さらに米国、その他の経済が低迷するっていう形で、日本の経済にも非常に大きな影響を与えたということであります。 今回は感染症の拡大によって、感染症の拡大自体もそうですし、それに対応して外出自粛とか企業、店舗の休業とか、その他、経済活動を非常に抑制してるわけですね。それによって企業活動がシュリンクしていると。その中でやはり企業の資金繰りが非常に厳しくなっているということであります。それは中小企業も大企業も同様でありまして、特に今、大企業などはご承知のようにグローバル企業も金融機関から大規模なクレジットラインを得ようとしたり、あるいはCPとか社債とかを増発するというようなことをやって、資金繰りから企業の倒産とか、その他、企業に対するダメージが起こらないようにしているわけですね。
資金繰りの点で前回を上回る措置を講じている
中小企業の場合もさまざまな努力をしておられますけれども、やはりここでは政府とか日銀によるさまざまなサポートというものも必要になっているということで、大企業も中小企業も含めて、もちろん今の時点で資金繰りで倒産するということになっているところは少ないと思うんですけども、そういうふうにならないように、みんな資金手当というか、資金繰りを急いでいるということは事実でありますので、その意味では、その面だけから言うと、ある意味で言うとリーマンショックのときよりも厳しいという面があると思います。そういう意味で政府も、また、日本銀行も資金繰りの点では前回のときを上回るような措置を講じているということであります。 それから追加的な手段ということですが、日本銀行としては、やはり感染拡大の終息にめどが付くまでの間は、雇用、事業、国民生活を守るということは最も大事でありまして、金融面からは金融機関や企業などの資金調達の円滑を確保して、金融市場の安定を維持するということが最も大事だと思っておりまして、日本銀行としてはこうした観点から本日の決定を含めて強力な金融緩和措置をしっかり実施していくという方針であります。また、必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる考えであります。その際の手段としては、量の拡大、あるいはオペ手段の拡充、金利の引き下げなど、さまざまな対応がありまして、その時々の最も適切な手段を選択する方針であります。政策金利の引き下げについてもフォワードガイダンスが示しているとおり、事前に選択肢から排除することはありません。