ディレクTVとディッシュ、合併に向け初期段階の交渉中-関係者
(ブルームバーグ): 米通信大手AT&Tとプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社TPGは、両社が共同所有する衛星放送大手ディレクTVを同業のディッシュ・ネットワークと合併させる方向で協議を進めている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。合併が実現すれば、米国最大の有料テレビプロバイダーとなる。
非公開情報を理由にこれら関係者が匿名で明らかにしたところではディッシュ親会社のエコスターとディレクTVの交渉は初期段階であり、合意に至らずに終了する可能性もあるという。
ディレクTVの広報担当者は電子メールで送付した声明で、「当社とディッシュの取引のうわさは今に始まったことではないが、われわれはうわさや臆測にはコメントしない」と述べた。
AT&Tの広報担当者もうわさと臆測にはコメントしないとした。TPGとエコスターの担当者はコメントを控えた。
ディレクTVとディッシュという2大衛星テレビ事業者の合併が実現すれば、有料テレビ業界にとって厳しい時期に約2000万人の加入者を有する企業が誕生することになる。また、衛星テレビ事業者の統合に関する長年の臆測に終止符が打たれることになる。エコスターは昨年12月にディッシュの買収を完了した。
過去のディレクTVとディッシュの合併協議は反トラスト懸念を招いてきたが、有料テレビからストリーミングへのシフトにより競争環境は変わってきている。
13日の米株式市場時間外取引でエコスターの株価は一時1.9%高を付けた。
ディレクTVの2023年末時点の加入者数は推定1130万人。一方ディッシュは今年6月末時点の衛星放送加入者が610万人、オンラインサービス「スリングTV」加入者が200万人。
AT&Tは2021年8月、同社の有料テレビ事業をスピンオフするためTPGと設立した合弁会社にディレクTVを移した。TPGが株式30%、AT&Tが70%保有する。
ディレクTVは視聴パッケージや料金を含む契約更新条件を巡り米ウォルト・ディズニーと対立している。