大荒れの商品相場に備えよ、猛暑が世界を揺らす恐れ-物価高止まりも
(ブルームバーグ): 世界的に気温上昇による災害が常態化しているが、今年は再び観測史上最も暑い年になり、さらに状況が悪化する可能性が高まっている。
こうした中、天然ガスや電力、小麦や大豆といった世界で最も重要なコモディティー(商品)の一部は値上がりしている。紅海やパナマ運河など、すでに混乱に見舞われている海上輸送は極端な水位低下によって再び揺さぶられることになりそうだ。破壊的な山火事の危険性も高まっている。
気候変動による異常気象がいかにエネルギーや食料、燃料のコストを押し上げ、インフレを悪化させるかを改めて想起させるシナリオだ。頻発する自然災害は壊滅的な損害と保険コストを巡るリスクを高めると同時に、市場の先行きを予測することを難しくする。ミュンヘン再保険によれば、異常気象と地震による昨年の損害額は全世界で2500億ドル(約39兆2100億円)に上った。
専門家の間では、米国の天然ガス価格が50%余り跳ね上がり、干ばつなど悪天候による供給ショックで小麦やコーヒー市場も大幅上昇するとの見方が出ている。電力市場では需要急増で、停電が起こるリスクも意識されている。
全米環境情報センターによると、今年1-4月は世界的に過去175年で最も気温が高かった。今年通年では間違いなく気温の高さでトップ5に入り、観測史上最も暑かった2023年を抜く確率が61%とみられている。
さらに悲惨なことに、記録的な海温上昇が「爆発的」な熱帯低気圧の活動を引き起こす恐れがある。また8月に定着すると見込まれる気象パターン「ラニーニャ」が大西洋でハリケーンの脅威を高め、米国の西部と南部には乾いた天候をもたらすとみられている。
ハートリー・パートナーズのシニアアドバイザー、エドワード・モース氏は、世界経済と原油市場にとって最大のリスクは「ロシア・ウクライナでも、イランでも、ハマス・イスラエルでもない」と指摘。「世界全体にとって今夏の最大のリスクは、メキシコ湾のハリケーンシーズンだ」と述べた。