最大のビッグイベント・米大統領選挙を通過した米国市場、期待される“年末の株高”に向けて注意すべき3つのポイント
米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が当選し、翌営業日から米株式市場は大きく上昇した。来年1月の大統領就任を控え、今後の株式市場をどのように見ていけばよいか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんが解説する。 個人投資家、投資系YouTuberの森口亮
* * * 株式市場は、2024年の最大の政治イベントである米大統領選挙を通過しました。大接戦という事前予想に反して、投開票日にトランプ氏が過半数の選挙人を獲得し、当選が確定したため、翌営業日から米株式市場は大きく上昇しています。これにより、2024年の年末に向けた株高への期待が一層強まっているように感じます。しかし、期待が先行し、株価が急騰するようであれば、割高感や過熱感が意識される可能性もあります。今回は、株高期待が高まる米国株市場において注意すべきポイントをまとめていきます。
【1】PERが高い
まず、投資家が最も注目する指標の一つに「PER」(株価収益率)があります。PERは、企業の利益に対して株価が何倍で評価されているかを測る指標で、割高感を判断する上で最も一般的に使用されています。 2024年11月8日時点でのS&P500のPERは25倍台と、2021年以来の高水準に達しています。2021年は、コロナ相場の影響から、全世界中で大規模な金融緩和が行われ、低金利環境にあった時期です。一方、同じく利下げ時期に差し掛かっているとはいえ、当時よりも高い金利やインフレ率の中での同水準のPERに対して、現在の市場でも割高感を意識する投資家が増えてきていると考えられます。
【2】長期金利が上昇傾向にある
大統領選挙が近づく中で、トランプ氏有利の予想が広まると同時に、米国の長期金利は上昇しています。トランプ氏の財政政策は米国経済に対してポジティブな影響がある一方で、景気が過熱し、インフレが再燃するリスクが意識されています。そのため、今後の利下げ予想にも変化が生じているようです。 2024年9月には一時3.5%台だった米長期金利が、直近(11月11日時点)では4.3%台まで上昇しています。長期金利が上昇することで、相対的に株式の割高感は意識されやすくなります。金利上昇と株価上昇が同時に続く場合、投資家は株価の動向により一層注意が必要な局面となってきます。
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