【毎日書評】「いつも人に振り回される」人の思いこみを変える方法
気づかないうちに他人の感情が侵入してくる
とかく振り回されてしまう人は、原因は自分にあると思いがち。しかし、緊張がまわりから「うつった」ことがそうであるように、「自分で緊張を引き起こしていない場合」はどうなのでしょう? 他人からうつった緊張は自分のせいではないのと同じように、変えたいと思いながらも変えられないと苦しんでいるさまざまな症状は、実は自分のオリジナルではなくて、近くにいる人の脳をミラーニューロンが自動的にまねてつくっている症状だったりするのです。(48ページより) 脳はつねにいろいろな人とつながってコミュニケーションをとっているもの。そうした、「人間の脳と脳は現代の科学では計測できない周波数でコミュニケーションを取り合っている」という仮説を、著者は「脳のネットワーク」と呼んでいるようです。 脳のネットワークは意識しなくてもいつもつながっており、自分にとって悪い情報も勝手に流れこんできます。 すると、常に不安や不満、怒りなどの感情に悩まされ、本人が望んでいないにもかかわらず、いつも他人を優先して行動してしまうようになるのです。(49~50ページより) その様子は、まるで誰かに支配されているようでもあると著者は表現しています。(48ページより)
「暗示」を使えば簡単に状況が変わる
他人に振り回されてしまう仕組みをなんとかするには、脳について理解を深めることが大切だそう。そうすればやがて、自分がいままでどうしても変えられなかった心や行動のクセに気づき、いろいろなことが腑に落ちてくるということのようです。 ちなみに「他人に振り回されてしまう状況」は変えられないものではなく、「暗示」によって簡単に脱出できるのだといいます。 「暗示」とは催眠療法などで使うもので、ことばや合図などによって相手の思考や行動、感覚などを誘導するテクニック。暗示をかけられた相手はそのことに気づかずに、自然にそうなったと思い込んでしまうというのです。 なにやら怪しげな気もしますが、著者によれば決して怪しいものではないようです。でも、だとすればなぜ、振り回されてしまう人に暗示が有効なのでしょうか? 暗示を使うことによって、「脳のネットワーク」を通じて周りから流れこんでくる不要な情報をシャットダウンしたり、書き換えたりして自分の都合のいいように変えていくことができるからです。(51ページより) つまり、脳の仕組みを有効に活用するということなのでしょう。そうすると、いままでうまくいかなかった人間関係も良好に展開していき、不安や不満、嫉妬なども消えていくのだといいます。(50ページより) もし本当に、暗示によって「本当の自由」を実感できるようになるのなら、ぜひとも参考にしたいところ。そこで本書を活用しつつ、「振り回されやすい自分」からの脱却を目指したいものです。 >>Kindle Unlimitedの3カ月無料キャンペーン【7/17まで】 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: リベラル文庫
印南敦史