最新「マッチングアプリ」ではAIが暗躍 ペアーズの「マッチングの質」は、どのように作り出されるのか
■どれだけ「いいね」をもらうか AIによるレコメンデーションは、その人の好みがいかに的確に反映されているかが重要になっている。興味のないものをたくさん紹介されても、満足感が下がるだけになってしまう。 奥村さんは、特にマッチングアプリでは、シビアな反応が見いだせるという。 「ペアーズでは、長年の試行錯誤の経験から、マッチングの件数ではなく、『質』に注目する必要性があると発見しました。 マッチングは『いいね!』の送信から始まるので、シンプルに考えると、どれだけ『いいね』をもらうかによって、マッチングがしやすくなるかと考えると思います。
しかし『いいね』が多く集まったとしても、それが質の低いマッチングでは、『メッセージのやりとりが続かない』(=ケミストリーが一致しない)という如実な結果がもたらされます。 マッチングのしやすさの先にある、マッチングの質をAIで追求することで、より関係が長く続き、結婚に結びつく人とのマッチングを作り出そうと考えました」 ■マッチングの質をいかにAIで発見するか では、マッチングの質は、AIでどのように作り出されるのか。奥村さんはペアーズを使っていく中で、「自分の好みの言語化」という行動変容を起こすことで、マッチングの質の根本的な向上と、レコメンドの確度の高さを作り出そうとしています。
「消費行動は日々の買い物でモノの良しあしや自分の好みを判断するための、十分な経験が蓄積されます。しかし恋愛は、そもそも経験できる交際経験が消費行動よりも少ないので、自分の好みをはっきり自覚するほどの判断軸が、蓄積されない可能性に気づきました。 かつ、普遍的に、こういう男性とこういう女性の相性が良いという定番パターンのようなものもあまり意味のある結果にはつながりません。やはり恋愛は個別な体験で、分布の平均値や流行だけ見ていると、多くの人は見誤ることになります」