小売業は将来<店長以外はAIとロボットだけ>に?AI研究者「店長さえ不要になるかも。10年後の業界でAIに代替できないことは…」
2024年5月にアメリカのオープンAIが、人間とほぼ同じ速さで音声対話ができる対話型AIの新モデル「GPT-4o」を発表し話題になっています。そのようななか、人工知能研究者の川村秀憲教授は「<AI失業>が日本でも増える可能性がある」と危惧しています。そこで今回は、各業種のAI化が今後どれだけ進むのかという見通しをまとめた川村教授の自著『10年後のハローワーク これからなくなる仕事、伸びる仕事、なくなっても残る人』から「小売」業界のAI化について解説します。 【イラスト】スーパーでよく見るこの仕事も、AIに代わるかも? * * * * * * * ◆小売 AI化率70% やがては、店長以外はロボット化する。しかし小型店でも個性的な店舗には光も スーパーやコンビニをはじめとする小売業界でも、AIによる技術革新はすでに始まっています。 小売業界では、他業界よりもAIを積極的に活用し始めていると感じます。 なぜなら小売業は構造的に利益率が低い一方、いまや深刻な人手不足です。 人件費がさらに利益を圧迫しているという以上に、もはや本当に必要な人材も採用できない状況にあるからです。 コロナ禍もあって、日本でも自分で精算するセルフレジが広まりました。 小売というニーズはなくならないなかで、人口減少、少子高齢化の日本がAIをうまく小売ビジネスに生かす実験の場になりそうです。
◆低コストでデータ収集、経営効率改善も じつは私が創業に関わり技術顧問として参画しているベンチャー企業「AWL(アウル)」で開発しているエッジAIと呼ばれる情報処理のシステムは、小売店舗での活用をメインとしています。 店舗にはたくさんの防犯カメラが設置されていますが、ここで得られる映像情報を顧客の動きや購買行動の分析材料として利用できれば、いままでは統計を取ること自体難しかったデータが低コストで集まり、経営効率を改善できます。 分析を行うAIはクラウド上にあるため、安価で利用可能です。 また、画像で顧客の属性を分析し、店内に掲出しているサイネージ広告を見て実際に購買に結びついたかなどの分析も可能です。 顧客にとっては欲しいものが入手しやすくなり、小売業界にとってはPOSシステム以上に、より売れる商品を効率よく販売できるようになります。 いままでは人の目と店長や仕入れ担当者の勘に頼っていた分野ですが、熟練を必要とせず、かなり正解に近い情報がAIによって誰でも利用できるようになるわけです。