小売業は将来<店長以外はAIとロボットだけ>に?AI研究者「店長さえ不要になるかも。10年後の業界でAIに代替できないことは…」
◆全国で広がるAI活用の動き AIを活用して効率を上げる動きは、全国で広がっています。 たとえば大手のイオンは、配送用トラックの最適ルートをAI活用で割り出し、総走行距離を1割減らすとしています。 広島が地盤の食品スーパー・フレスタでは、無人レジの導入と合わせてAIによる来店客数の予測を開始し、今後は需要予測や自動発注にまでつなげていくそうです。 小売業向けのシステム開発が専業のヴィンクスでは、AIを利用して季節的に売れる商品の自動発注の精度を高めるシステムを開発しています。 こうして、まるでいままでは工場や倉庫などで起こっていたような、人間と機械やロボット、そしてAIが共に働くことでビジネスを持続させていく仕組みが、街角の小売の現場にもやってきつつあるのです。
◆店長さえ不要になる? やがては、仕入れも顧客管理もAIが行い、レジはセルフという店舗が増えていくでしょう。 大げさではなく、店長以外全員AIとロボット、あるいは店長さえ不要で、品出しさえもロボットがする時期がやってくることもそう遠くはなさそうです。 ただ同時に、小売店舗にわざわざやってくる顧客の心理には、生身の人間とのちょっとした触れ合い、なじみの店員との会話が楽しみだという思いもあるでしょう。 人が売っていることの生み出す活気、熱量、あるいは売り場をプレゼンテーションしていく力というのは、なかなかAIには代替できないものだと考えられます。 こうした「カリスマ店長」「スーパー販売員」のような人とAIがうまくタッグを組んだ、小さいけれどそこでしか味わえない魅力のある店舗が増えていくと思います。 小さくても個性的な店が増えていき、サステナブルになっていけば、間違いなく世の中は豊かになるからです。 ※本稿は、『10年後のハローワーク これからなくなる仕事、伸びる仕事、なくなっても残る人』(アスコム)の一部を再編集したものです。
川村秀憲