【40代、50代・どうする?眼瞼下垂】まぶたのたるみと眼瞼下垂はどう違う? 治療に保険はきく? きかない?
まぶたが重い、目が開きにくい、まぶたがたるんで老けて見られるようになったなど、問題多き40代以降のまぶた。でもそれ、本当に眼瞼下垂? ただのたるみ? 治療はしたいけど保険適用になるの? 今回は、まぶたのたるみと加齢が原因で起こる眼瞼下垂に絞って、眼瞼下垂の専門医である高田尚忠さんに伺った。
似ているようで違う「まぶたのたるみ」と「眼瞼下垂」
眼瞼下垂(がんけんかすい)は、上まぶたがうまく上がらなくなって目が開きにくく、視野が狭くなってしまう状態。目の不調だけでなく頭痛や肩こり、不眠などの身体症状が現れる人も多くいる。 でも、年を重ねるとまぶたの“たるみ”も気になり出す。眼瞼下垂なのか? たるみなのか? 区別がつかない…という人も多いことだろう。 「まぶたのたるみも眼瞼下垂も、40代以降に起こるものは加齢が原因のことが多いもの。まぶたのたるみは加齢に伴って誰にでも起こりうるので、眼瞼下垂に比べて発生頻度は高いですね。 ふたつが明らかに違うのは、トラブルが起きている場所。眼瞼下垂は、まぶたを持ち上げる筋肉が緩んで、うまく目が開けられなくなっている状態。まぶたの縁に近いところで起きているものです。 一方、まぶたのたるみのほうは、皮膚の緩みそのものです。ほかの皮膚同様、老化や紫外線などのダメージによって皮膚内のコラーゲン、エラスチンなどのハリ成分が減少すると、肌の弾力性がダウン。まぶたの皮膚を支えられず、たるんで下に下がってしまった状態です」(高田先生) まぶたのたるみは加齢による皮膚の垂れ下がり(皮膚の緩み)が原因。眼瞼下垂は眼瞼挙筋の機能低下(筋肉の緩み)が原因。はっきり違う。
このふたつは、正式には以下のように呼び分けられている。 ■眼瞼皮膚弛緩症(がんけんひふしかんしょう) こちらはまぶたの筋肉に問題はない。眼瞼挙筋の機能は保たれているものの、たるんだまぶたの皮膚が目の縁にかぶさり、視野が狭くなっている状態だ。 ■腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい) まぶたを持ち上げるために働く挙筋腱膜と、先端部分にある瞼板の結合部分が緩み、まぶたが下がってしまった状態のこと。眼瞼挙筋の衰えが直接の原因だ。 「前者のたるみでも、黒目が隠れるほどまぶたが落ちてくることもあり、眼瞼下垂と似たような症状が現れます。医学的(眼形成外科的)には眼瞼下垂と分けて考えられ、『偽眼瞼下垂(ぎがんけんかすい)』とも言われます。 偽眼瞼下垂の原因は、皮膚のたるみ以外にもあります。例えば、加齢によって眉毛が自然に下がってしまう『眉毛下垂(びもうかすい) 』、まぶたを閉じる筋肉が過剰に緊張して開きにくくなる『眼瞼痙攣(けいれん)』、眼球が陥没したようになる『眼球陥凹(がんきゅうかんおう)』など。 これらのケースは、眼瞼下垂とは原因が異なるので、人によっては眼瞼下垂の手術では改善できないこともあると覚えておきましょう」