〈伝説の拡散プリ画像〉中卒、少年院…波乱万丈の末、経営者になっていた「チャリで来た。」の少年。「名前や住所がさらされリンチ事件の犯人にされ…」誹謗中傷の的となった当時を振り返る
プライベートな写真や動画がSNSに無断転載され、トラブルや、事件に発展することさえある昨今。過去には「チャリで来た。」と書かれた4人のヤンチャな少年のプリ画像がウェブに転載され、ネットユーザーに“おもちゃ”として扱われ、その結果さまざまな被害に遭ったという。今回はそんな有名プリ画像に写る2名に、当時から現在に至るまでの紆余曲折、さらに画像拡散によってどんな誹謗中傷を受けたか、そしてネット上のコメントなどをどう受け止めてきたかを聞いた。 〈画像初公開〉伝説のプリ画像から16年、あのポーズを再現!
本名・住所までネットにさらされて「タイマン張れ」
不良中学生4人が写る画像。そのキメ顔と「チャリで来た。」という文言の落差から2008年にネット界隈で拡散され、2ちゃんねるやmixiに転載されまくった。 そのプリ画像に写る4人の中で、右後ろにいる熊田勇太さん(30)。彼は現在、料理人として飲食店を経営するかたわら、ABEMAの“新婚”観察リアリティーショー「いきなりマリッジ2」に出演したり、その名フレーズをブログタイトルにして日常を綴ったりと、幅広い分野で活動している。 今回、熊田さんにインタビューする機会を得たのだが、彼はプリ画像に写るメンバーの中でも「ヤンチャな人生を歩んできた」という友人・杉船孝太さん(30)を連れてきてくれた。 –––今回は取材に応じていただきありがとうございます。さっそくお決まりの質問をしたいのですが、今日は何に乗ってこちらに……? 杉船 地元の横浜から車で来ました。 熊田 俺は電車っスね。 –––もうチャリではないのですね。まず例のプリ画像はどんな経緯で撮ったのか、ご説明いただけますか? 熊田 朝7時半に起きて、地元の横浜・港南から二俣川までチャリで行ったんですよね。 杉船 「GALFY(ガルフィー)」っていう、ヤンキーが着る服を売っている店までね。 熊田 そうそう。ハンドルを「直角悪絞り」って形に改造したチャリで。 杉船 誰かのチャリにスピーカーついていて、湘南乃風の歌を流していたよね。 –––たしか「GALFY」の店に向かったものの、高すぎて買えず、それでプリ画像を撮ったんですよね。 熊田 そうです。プリ画像は、その店の近くのゲームセンターで撮りましたね。あのフレーズは、プリ画像を撮ったあとの落書き時間に、焦った俺が何も考えずにとっさに書いたものでした。 –––それで有名な「チャリで来た。」が生まれたんですね。そして、プリ画像をSNSの先駆けともいえるウェブサービス「前略プロフィール」に公開し、それが拡散されてしまったと。 熊田 はい。小学6年生か中学1年生のころ、誰が投稿したか忘れましたが、それが「mixi」や「モバゲー」、「2ちゃんねる」に転載されて、ネットで拡散されてしまいました。中学のときには、学校中に知れ渡っていましたね。 杉船 自分と(熊田)勇太は同じ中学校で、個人名や学校名までさらされてしまったんですよ。それを見た他校の不良が俺らの学校に来て、「この5人のうちの誰かとタイマン張れ」とか言われたよね。 熊田 うん。それ以外にも、当時起きたリンチ致死事件の犯人だって言われたり、初めて会う人には必ずと言っていいほど「何に乗って来たの?」って小馬鹿にしながら聞かれたり……さんざんでしたね。 –––それは大変な目に遭いましたね。命の危険を感じたことはありましたか? 熊田 それはないです。住所をさらされてしまったので、十分そういう危険性もあったと思うんですが、幸い命の危険に及ぶようなことは起きませんでした。 杉船 自分も当時、いきなり家に電話がかかってきて「今から行くぞ」とか言われましたが、「そうなの? 来れば?」くらいの感じで。あまり深く考えていませんでした。