“悪口”が大問題に発展「キャリア喪失」の「まさか」 あだ名で社長を揶揄 飲み会の席も要注意 経営層の失態例も
部下たちが一斉に凍りついたのは、Tさんがいよいよ社長の悪口を言い出したときだ。 「うちの社長、ボンクラで決断力がないんですよ。彼は一刻も早く辞任したほうがいい。来期は社長交代じゃないですか(笑)」 取引先の役員は「まぁまぁ」と言いつつも、明らかに引いている様子。「これはまずい」と慌てた部下たちは、「T常務の発言は、先方に経営が盤石でない印象を与えてしまったのではないか」と、人事に報告(密告)。Tさんの所業が白日の下にさらされることとなった。
この事態を重く見た人事担当役員は、役員会議にかけ、Tさんの処分が決定。1カ月後の人事発令のタイミングで、「常務の役職を解く」旨を言い渡した。 「単なる飲みの場の言動で、なんでこんな目に遭うんだ! だからこの会社はダメなんだ」と憤慨したTさんは、人事発令が出る前に退職。最後まで悪態を披露しながら去っていった。 ■悪口に乗っかった側も同罪に まさか“悪口”がきっかけで、職を追われることになるとは、誰しも思いも寄らないだろう。
もちろん、内輪の集まりで会社の愚痴を漏らしたり、他者への批判を口にしたりすることは誰にでもあるし、それは大した問題にはならない。 だが、キャリアを失うほどの大問題に発展するのは、その言動が会社や社員に“損害”を与えたときだ。K係長やT常務が、そのいい例だろう。 もう一つ、気をつけたいのは、相手の悪口に一緒になって盛り上がってしまうことだ。 もし仮に、K係長やT常務の部下たちが、社内チャットや飲みの場で一緒になって、悪口を言い合っていた場合……。それが万が一、表沙汰になれば、悪口に乗っかった部下の側も“同罪”になる可能性がある。
たかが悪口、されど悪口――。口は災いの元と言うが、不用意な発言で自身のキャリアを棒に振るようなことがないようにしたい。
萬屋 たくみ :会社員(人事部長)