“悪口”が大問題に発展「キャリア喪失」の「まさか」 あだ名で社長を揶揄 飲み会の席も要注意 経営層の失態例も
これらのプリントはとてもじゃないが、当事者たちに見せられない。極秘中の極秘扱いにし、秘書課と人事の上層部、そして法務部のごく一部の社員で、K係長の問題行動への対応を協議した。 K係長が引き起こした問題は、主にこの3つ。 ①社内チャットを業務以外のことに乱用したこと ②そこで他者を侮辱するような悪質な書き込みを行ったこと ③それらの行為によって部下にストレスを与え、業務の滞りを招いたこと 加えて、ほかの社員や上層部に関する情報をさらす行為は、秘書の職務に著しく反するとして、厳重注意および、部署異動を決定した。異動先は、東京郊外にある事務センターだ。
K係長本人に証拠となる書き込みのプリントを突きつけると同時に、厳重注意を行うと、納得いかない様子。謝罪の言葉を述べるも、心からのものでないことは明白だった。すると、事務センターへの着任を前に、自ら退職。職場を去っていった。 実は、この行動は我々の読み通りでもあった。プライドの高いK係長なら、本社からの異動を不服に感じて、すぐに辞めると踏んでいたからだ。懲戒処分にしなかったのは、会社側からの、せめてもの温情であった。
■人を見下す常務が起こした失態 一般社員のみならず、経営層の中にも、“悪口”がきっかけで職を追われた人もいる。 これは、私がとあるベンチャーに勤めていた際に勃発した、常務取締役のTさん(50歳・男性)のケースだ。 Tさんは超難関大学の出身であり、数々の大手企業で実績をあげた華麗なる経歴の持ち主。キレ者で頭の回転が速く、経営層の中でも発言力が大きい印象があった。 だが、Tさんには一つ、問題があった。それは自分が優秀であるがゆえに、人を見下す癖があることだった。
部下との飲み会や少人数のミーティングで、他者への見下し発言がちらほら。副社長のことを、「あいつ使えねぇよな」と漏らしたかと思えば、執行役員の面々を「あいつら頭、悪いんだよ」と悪態をつくことも多かった。 そんなある日、事件は起きた。Tさんと営業部の部下2名、そして大口取引先の役員、計4人で飲み会が開かれたときだった。お酒が入って気が緩んだTさんは、ついついいつものように、近しい役員たちへの悪態をつき始めた。