“悪口”が大問題に発展「キャリア喪失」の「まさか」 あだ名で社長を揶揄 飲み会の席も要注意 経営層の失態例も
そこまではよかったのだが、突然、K係長から「ここだけの話なんだけどさ……」と、ほかの社員の悪口が書き込まれるようになったのだという。 「〇〇って、ホントうざいよね。仕事できないのに態度デカい。顔もデカい」 「△△、クソだわ~。頭悪いのに、なんで役員になれたんだか」 あまりのひどい言い草に、Mさんも派遣社員の女性も面食らったが、直属の上司からのチャットだけに無下にもできない。 「そうかもですね」と、はぐらかすように受け答えしていると、それに“共感している”と思われたのか、ますます悪口はエスカレート。
同僚のみならず、自分たち秘書が支えるべき役員に対しても、蔑みの言葉を書き連ねていることに、Mさんと派遣社員はさすがに「ヤバい」と思ったらしい。悪口への返信は書かずに、時折リアクションの顔マークを入れるまでにとどめるようになった。 それでもK係長の悪口攻撃はやまなかったという。 「これがいつまで続くかと思うと気が滅入ってしまって、よく眠れないんです。それにチャットが次から次へと来るので、気が散って、業務も滞りがちになってしまいました」
そう嘆くMさんの言葉に、危機感を抱いたY課長。Mさんの承諾を取り、チャットの中身を見せてもらうと、書き込みの多くはK係長に消されていて、証拠となる文面はほとんど残っていなかった。 「そこで萬屋さんにご相談なんですけど、システム担当にお願いして、削除されたチャット内容を復元できないでしょうか。私としては事実を突き止めて、しっかりと対処したいです」 Y課長の並々ならぬ決意に賛同した私は、すぐさまシステム担当に依頼。復元してもらうと、そこにはおびただしい数の書き込みが記されていた。
■社長にも揶揄するようなあだ名を命名 K係長からの悪口チャットの数は、およそ2000通。A4用紙にプリントアウトすると、数百枚にのぼった。 驚いたのはそれだけではない。悪口の対象者一人ひとりに「あだ名」を付けていたのだ。そのあだ名の数々は、不謹慎だが、クリエイティビティに富んでいた。 「しゃくれメガネ」に「付け鼻おじさん」、社長に至っては、古代に絶滅している化石になぞらえて、「アンモナイト(略してアンモ)」と呼んでいた。ちなみに、私に付けられていたあだ名は、「ミスター凡人」。悪口までは書かれていなかったが、複雑な心境になった。