ドイツでコーチ修行、川崎ブレイブサンダースの前HC佐藤賢次の挑戦(後編)「いろいろな経験をしてパワーアップして戻ってきたい」
「ここからどれだけ苦労しようが、どんと来い!!というメンタルです」
――今回のドイツ行きは1つの大きな区切りをつけた上での新しいステップなのか、それとも今までの22年間の延長なのか、どのように捉えていますか。 22年間の延長線上を歩む中で、一度これまでのモノをぶち壊していく感覚です。一度、作ったものを壊さないと、これまで築き上げてきたものの良さも見えなくなる。そういう考えはあります。 ――これまでの佐藤さんのキャリアを見ると、まだ現役への思いがありながらもチーム事情を優先して引退し、すぐにアシスタントコーチになりました。また、ヘッドコーチ就任の時は、北(卓也現GM)さんが退任して佐藤さんしか後任はいないだろうという状況でした。今回は自身で切り開いていくという感覚はありますか。 自分で考えて決めたからこそ、ワクワクが大きいです。人のせいにはできないですし、ここからどれだけ苦労しようがどんと来い!!というメンタルです。今まではこれをやって欲しい、と言われることの方が多かったです。今回は何をやりたいのか、自分探しを経ての決断で、ありがたいことにクラブにそれを受けいれてもらえました。 ――44歳で人生初の海外生活となります。 緊張や不安より、楽しみな気持ちが上です。50歳、60歳になってからの初めての海外生活は心配になるかもしれないですが、まだ44、45歳ならこういう決断ができます。それに1つ年下にはまだ現役で、地元の新潟を再建しようとする人(五十嵐圭)、ブレックスの顔であり続ける人(田臥勇太)もいます。僕もチャレンジしていきたいですし、この機会を逃したら次はないという気持ちはあるので思いっきり楽しんでいきたいです。 ――最後に川崎ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。 ファミリーの皆さん、本当に長い間、佐藤賢次という人間を応援してくださりありがとうございました。特にヘッドコーチになってから良い時も悪い時も皆さんに支えられてやってこられたと心から思っています。今回、こういう形で一旦、チームを離れて海外に挑戦します。これまで選手が移籍すると必ず、どこに行ってもファミリーの一員であることは変わらないと言い続けてきました。僕のことも引き続き応援してもらえるとうれしいです。いろいろな経験をしてパワーアップして戻ってきたいと思っているので、楽しみにしていてください。
鈴木栄一